お知らせ

宮古「秋の風コンサート in 善林寺」

2014.11.23

4800_2231門標岩手沿岸部復興コンサート「秋の風コンサート」ツアー2会場目は岩手県宮古市。魚市場近くの坂の上にある善林寺、本堂からは宮古湾の海面がキラキラ光るのが見えます。お寺の階段下まで津波が到達し、路地の入口にあるお宅は1階の天井まで浸水したといいます。震災から3年8か月が経過し、一見すると津波の傷跡は見えにくくなっていますが、5分も離れていない元学校の校庭に仮設住宅が立ち並ぶのを見て、ここが被災のあった港町だということを思い出しました。(近くにある道の駅には、今回の津波の高さが示されていました。)復興コンサートとして岩手県宮古市に伺うのは、今回が初めてのことですが、仙台フィルとしては何度もいらしているとのこと、町のことをVc.山本さんが色々と教えてくださいました。800_2230津波浸水表示

IMG_5831こちらの善林寺は、釜石・宝樹寺の野嶋住職からご紹介いただきました。9月に打合せに伺うと、80代のご住職は会津坂下町のご出身。元々音楽がお好きで、宮古に来てからは少年少女合唱団を創設し、指導に務められたのだそうです。本堂に入る廊下には、古く可愛らしい足踏みオルガンがあり、住職に伺うと昭和30年代、結婚する時の結納金で購入された思い出のオルガンだということでした。新潟に嫁がれた娘さんも、大学では教育学部で音楽を専攻され、お2人のお孫さんも吹奏楽部に所属しながらピアノも習っているとのこと。音楽一家との思いがけない出会いが嬉しい、今回のコンサートとなりました。

今日の出演も、仙台フィルからチェロの山本純さん、そしてヴァイオリン浅野みけらさん、ピアノ藤井朋美さんによるピアノ三重奏です。昨日に引き続き、ご本尊の前での演奏となりました。会場には檀家さんだけでなく、市の広報誌などにも情報を掲載いただいたお蔭か、たくさんの方が早い時間から集まってくださいました。800_2235手作り案内板800_0878

三重奏での「緑の森よ」から始まると、客席の皆さんの少し緊張していた様子が、ほっとした表情に変わっていき800_2298ました。ソロコーナーでは演奏者一人ずつが、曲の紹介の前に、震災当時自分はどこにいて、どんなことをしていたかを話されました。アメリカ留学中だった浅野さん、ドイツ留学中だった藤井さん、それぞれ遠く離れた場所で家族の安否のわからなかった間、どんなにか不安だったことでしょう。藤井さんは石巻市の沿岸部、湊地区のご出身。自宅にいた家族は、目の前にあるスーパーの屋上に車で避難したため、無事でしたがご自宅は津波で全壊でした。宮古の皆さんにとっても他人事ではないお話に、客席と舞台との距離が少し縮まったように感じました。クラシックだけではなくピアソラの「オブリビオン」やリクエストいただいていた「ふるさと」も演奏され、会場のみなさんにも歌っていただきました。800_2326

800_2274宮古は、ピアニストであるVn.浅野さんのお父様が、長年定期的なレッスンに通っていらした町でもありました。会場にはその教え子の皆さまも多く集まり、用意した座席が終演の頃には全て埋まる盛況ぶりでした。嫁がれた善林寺の娘さんは、Vc.山本純さんの大学の後輩でもあり、この日は新潟からお花を届けて下さいました。皆さまのあたたかいお心遣いを感じながら、こちらが元気をいただいたようなコンサートとなりました。宮古1

800_2320吹奏楽講習会が終わって急いで帰ってきてくれた高校生のお孫さんも、後半のコンサートに間に合い、ピアノも一生懸命されているとのことで熱心に聴いてくださいました。終演後にはpf.藤井さんとも色々とお話されていたようです。また普段は京都の大学で教鞭を執っていらっしゃる副住職も、この日はご葬儀が立て込んでいたこともあって宮古に戻られておりお聴きいただくことができました。事前広報から当日の準備まで、お世話になりました善林寺の皆さん、本当にありがとうございました。宮古の皆さまにもまたお目に掛かればと思います。それまでどうぞお元気で!800_0884善林寺の皆様とm