お知らせ
田子西「うたカフェ♪」_6月
- 2025.6.20
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仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では
町内会主催のサークル活動として、この住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌を楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、音楽リーダーをコーディネートしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)夏のような日差しの中、集会所に着くと、あたり一面にシロツメクサが咲いていました。ほんのりと甘い香りが漂って、いかにも6月らしい風景ですね。集会所の洗面所には青いあじさいが飾ってあり、白い壁とのコントラストが美しい一隅になっていました。
さて、音楽リーダーのソプラノ松本康子さんと岩瀬りゅう子さん(仙台オペラ協会)、ピアノ富樫範子さんはいつものようにバラエティ豊かな歌をたくさん用意してきました。松本さんのアイディアで、「ろ」「く」「が」「つ」で始まる選曲――『ろくでなし』、『黒田節』『学生街の喫茶店』『翼をください』の4曲です。ウォーミングアップでゆったりと伸びたりひねったりした後、眉毛や頬を上げ下げしたり、唇を突き出したり、顔の準備もしっかりめに行ないました。会場に漂うコーヒーの香りを胸いっぱいに吸い込み、吐く息に乗せて発声練習もしました。
冒頭で「まずは季節にちなんだ1曲を…」と、松本さんと岩瀬さんは童謡の『あめふり』を披露しました。よく知った歌も二重唱となるとゴージャスに聞こえますね。みなさん小首でリズムを取りながら、楽しそうに聴いていました。さて、『ろくでなし』は言葉の嵌め方が独特で、「へーいじつだけど」「コオヒイが沸いたら」あたりを何度か練習しました。最後の「パパーラパパ…」も字面にとらわれるより何となくの雰囲気で歌った方がうまくいくみたいです。カラっとした明るさが梅雨時にいいですね。越路吹雪になりきって歌えたでしょうか。
フランス気分から一転、『黒田節』は音程も低く、腹式呼吸でどっしり歌います。松本さんは「音を伸ばすところは、扇をひらりひらりと返すようなつもりで歌うと、日本的な情緒が出ますよ」とアドバイス。「飲むならば~」のところで、片手を差し上げ、ひらひらと落ち葉のように揺らしつつ、下ろして見せました。みなさんはその手の動きを参考にして「ならば~ぁぁぁぁ」とたっぷり歌っていました。
また、松本さんは『黒田節』と『サンタ・ルチア』を掛けて「一樽、二樽、三樽チア~♫」とダジャレの替え歌を朗々と歌い上げ、客席からは「あはは~!」と笑いと喝采が沸きました。
4曲歌って、ひとやすみ。喫茶ひこのマスター西垣さんが淹れたコーヒーでひと息ついた後、松本さんは中学生の頃に大好きだったという八神純子『みずいろの雨』を、岩瀬さんは谷山浩子『さよならのかわりに』をそれぞれ独唱で披露しました。
岩瀬さんの声はお天気雨のようにきらきらと光るようで、せつなく温かな歌詞にちょっと涙ぐんでいる方もいました。気持ちが透き通るような歌でした。
今日も笑いあり涙あり、盛りだくさんのうたカフェでしたね。みなさん、ありがとうございました!