事務局だより

バリトン歌手 小森輝彦さんに感謝状

2015.7.17

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音楽の力による復興センター・東北は2011年3月24日の設立直後より国内外の多くの方々からご寄附をいただいております。プロならびにアマチュアの音楽団体や演奏家個人、音楽を愛する一般の方々など、幅広くさまざまな方々からご支援をお寄せいただきました。このホームページの中にもご支援いただいた方々のお名前をご紹介しております。

そのご寄附いただいた方々の中に、ドイツ・ゲラ市立歌劇場専属歌手として長きにわたり活躍された、バリトン歌手の小森輝彦さんのお名前があります。2011年6月から2012年12月にかけて3度に亘って多額のご支援を頂戴しました。それは、アルテンブルク歌劇場とゲラ市立歌劇場、それぞれで小森さんや歌劇場のみなさんが企画してくださった、チャリティーコンサートを通してのご寄附だったのです。
この度、小森さんは翌18日開催の仙台フィルハーモニー管弦楽団特別公演『椿姫』公演に出演するため来仙なさいました。仙台フィルの村上演奏事業部長のお取り計らいで直接お目に掛かることができました。大澤代表理事から、4年前にいただいたご寄附について御礼を申し上げると共に、ふたつの歌劇場宛てに感謝状をお贈りいたしました。
小森さんは今夏、コンサート出演のためアルテンブルク・ゲラ市立両歌劇場を訪問されるとのこと。ご支援いただいたみなさまにもお伝えいただけるよう、活動を始めた当初のことや最近の復興コンサートの様子などをお話しさせていただきました。震災当時、ドイツにいらした小森さんが感じていらした葛藤についても、少しお伺いすることができました。

あの時、小森さんをはじめ、多くの在外日本人がインターネットで流れてくる情報に釘付けになりながら、遠く日本を離れ、多くの困難に直面した友人たちに対して直接何もできることがない、と打ちのめされた気持ちになったそうです。
小森さんご自身も深く落ち込んでしまったその時に、ゲラ市立歌劇場の同僚である日本人の方から「小森さん、チャリティーコンサートを開きましょう」と提案され、非常に驚いたのと同時に、「是非に!」と動き出したのだそうです。
そしてその後、仙台フィルや仙台の音楽家が「音楽の力による復興センター」を立ち上げ、自ら避難所や街角に出向いて「復興コンサート」の活動を始めていると知ったそうです。
「自分が直接、そこに駆けつけることはできないけれども、自分の代わりに”音楽”を届けにいってくれている音楽家たちがいる、ということにとても励まされたんです」と小森さんは語りました。また、チャリティーコンサートの収益から復興センターへ寄附なさったことについても「とても誇りに思います」と言いました。
そのお話しを伺い、震災から4年が経った今、改めて小森さんやアルテンブルク、ゲラ市のみなさんに力強く背中を押されたような気がしました。

今日お渡ししたこの筆書きの感謝状は小森さんと共に海を渡ります。4年の時を経て、ようやくアルテンブルクとゲラ市歌劇場のみなさんに感謝の気持ちをお届けすることができます。ずいぶんと時間がかかってしまいましたが、あらためまして心より御礼申し上げます。
そして小森さん、このたびは海を超える掛け橋となっていただき、本当にありがとうございました。またお目に掛かれますことを。