お知らせ
気仙沼・双葉保育園「春が来るよ!コンサート」
- 2019.3.7
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前日まで南相馬市内の復興公営団地で、大人向けに4つのコンサートを終えた、ソプラノ千石史子さんとギター小関佳宏さん。終演後、常磐道をひたすらに北上すること3時間。翌日の気仙沼・双葉保育園公演のために気仙沼に入りました。今回の訪問は、東日本大震災こども未来基金の助成を得て開催することができました。双葉保育園への訪問は実に4年ぶりです。
気仙沼・双葉保育園は魚市場の近くにあります。東日本大震災では、園庭に津波の水がひたひたと迫ったそうです。子ども達も先生方も、どんなにか恐ろしい思いをされたことでしょうか…。それまで通ってきていたのは、主に保育園脇を通る坂の下や、港に近いところ海辺に住んでいた子ども達がほとんど。その家々が流されてしまい、仮設住宅や親戚を頼って移っていった家族も多く、園児は激減しました。もうこのままでは経営も難しい、これを機に閉園しようかとも考えましたが、お母さん方からの「また再開してほしい」との厚い要望があり存続することを決めたのだそうです。
ギターの小関さんは2度目の訪問。前回も元気いっぱいに一緒に歌ってくれた子ども達。今回も一緒に楽しんでいただけるように、キッズソングや手遊びうたをたくさんご用意くださいました。控室には、園長先生の手書きによる「春が来るよ!コンサート」のお知らせが。ご家庭へもお知らせくださったこと、とても嬉しく、こちらも力が湧いてきます。
園長先生のお話しに続いて、春色のドレス姿の千石さんが現れると、女の子たちから「わ~!」「かわいい~」と歓声があがります。小関さんはウクレレで登場。千石さんが子ども達の大合唱を予想して「さんぽ」を歌い始めると…子供たちは、千石さんのきれいな声と、生で初めて聴くギターの音色に驚いたのか緊張してしまったのか、ぽか~んと2人を見上げてしばし放心状態…その様子を見た副園長先生も、あららら…!と苦笑い。とはいえ、続く「森のくまさん」「山の音楽家」「大きな栗の木の下で」と、うたの掛け合いや手遊びで、お二人は子ども達の興味をアッと言う間にぐいぐいと引き寄せていきました。「大きな栗の木の下で」は、とてもゆっくり歌ってみたり、とても速く歌ってみたり。子ども達はそんなちょっとした変化もなんだか楽しくなってしまって、大はしゃぎ、大騒ぎ!小さなお友達も、大きなお友達も、聴きにきてくださったおじいちゃん、おばあちゃん、ママも、一緒に大盛り上がりです。
もうすぐ卒園間近の年長さんが練習中という「1年生になったら」を元気に聴かせてもらうと、「今度はみんなが聴いたことのない歌を歌いますょ、でもとっても面白い歌なので、よく聴いてみてね」と千石さん。谷川俊太郎作詞 、鈴木広志作曲の言葉遊びが楽しい「つるつるとざらざら」を。「つ~るつる♪つ~るつる♪つるつるすべるの なんだろうな?」と始まるゆかいなこの曲に、子ども達はよく歌詞を聞いてふふふふ、と笑ったり、お隣さんと顔を見合わせて大笑いしたり。春らしい童謡もぜひ聴かせてほしい、と言われ用意したのは「春が来た」と「めだかの学校」。「めだかの学校」では、「みんながそろってつーいつい♪」とみんなで泳ぐまねっこをして遊びました。最後の「夢をかなえてドラえもん」が終わると、先生方から「アンコール!」「一番始めに聴かせてもらった『さんぽ』、本当はみんな大好きなんだけれど、最初は緊張してしまって一緒に歌えなかったので、もう一度お願いしま~す」との声に、お二人は喜んで二度目の「さんぽ」。すると今度は子ども達もすっかり打ち解けて、小さな子から大きな子までみんなで歌ってくれました。
コンサートが終わると、今度は子ども達から思いがけないプレゼントが…なんと、すてきな演奏のお返しに、と「ありがとうの花」という歌を、みんなで手話付きで聴かせてくれました。このサプライズプレゼントには、千石さんも小関さんも少しうるうると…。すっかり打ち解けた子ども達、部屋に戻る途中に千石さん、小関さんとハイタッチ!名残り惜しいお友達のなかには、千石さんに思わず“ぎゅっ!”と抱きつく子も。お返しに千石さんも“ぎゅ~っ!”。短い時間のコンサートでしたが、子ども達、とっても楽しんでくれたようでした。どの子の表情もキラキラとして、嬉しかった気持ち、楽しかった気持ちが溢れ出ているようでした。
今、在園している子ども達は、皆、震災後に生まれてきた子ども達です。とはいえ、平地の少ない気仙沼は、防災集団移転団地も山を切り崩すところから始めなければならず、嵩上げ工事にも非常に時間がかかりました。子どもたちも、生まれてから今まで、仮の住まいから新しい自宅や修繕した自宅へ引っ越しを繰り返したご家庭も多かったと聞きます。またこうして8年経った今も、建設中の家や、一方で仮設住宅に暮らす子ども達を見かけることもあります。子ども達と、子ども達を取り巻くお母さんお父さんたちが、早く皆、安心して、自宅で家族とともにゆったりと過ごせる日々がやってきますように、と願うばかりです!