お知らせ

荒井東「音楽サロン」_3月

2026.3.17

仙台市若林区にある復興公営住宅の荒井東市営住宅へ
2018年4月から、歌を楽しむ会をお届けしています。
今年度は隔月で開催しています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

日差しは暖かですが、風がちょっと冷たい午後です。今日、市内の小学校では卒業式だったらしく、集会所のまわりで子どもたちが遊んでいました。新鮮な光景です。
さて、今年度最後の「音楽サロン」、音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さんとピアノ田村聡子さんはどんなプログラムを用意して来たのでしょう。楽しみです。
最近ちょっとご無沙汰していた昔の常連さんも顔を出して、用意した席は満員となりました。

ストレッチと発声練習で体とのどを充分に温めて、まずは童謡『うさぎとかめ』『たのしいひなまつり』を歌いました。ここで優子さんが「さあ脳トレです!歌詞とメロディを交換して歌いますよ」と言いました。みなさん一瞬きょとん??としましたが、やってみるとすぐに「ああそうか」と要領を得て、面白がって歌っていました。スキップするおひなさまと、さらに歩みが遅くなったカメの姿が目にうかぶようですね。脳トレ度数を上げて、さらに腕を交互に突き出しながら歌ってみました。胸元に引いた手はグー、突き出した手はパーにするという課題に、みなさん果敢に挑んでいました。

今日は、以前いただいたリクエストにお応えして『哀しみ本線日本海』、また、3月にちなんで『贈る言葉』をみんなで歌いました。「哀しみ本線は、語るように歌うと雰囲気が出ますよ」「贈る言葉は、拍子が変わるところがポイントです」など、ちょっとしたコツの説明を受けながら、みなさん歌の主人公になって歌っていました。

後半のミニコンサートで、聡子さんは『仰げば尊し』をソロで演奏しました。ちょっと都会的な感じのするジャズ風のアレンジで、春風のようなやさしさも漂う調べです。ご自分の卒業式を思い出したのか、みなさんは懐かしそうな表情を見せ、そっと口ずさんでいる人もいました。

年度の締めということで、最後にお二人は昭和のヒット曲『また逢う日まで』を披露しました。イントロが始まったとたんに「あ~!」と歓声が上がり、或る方は率先してタンバリンを手にして演奏に花を添えました。優子さんはなんと1番を女声、2番を男声で歌い分けて、観客の度肝を抜きました。そこに聡子さんがハーモニーをつけ、二人のパワフルな歌声にみなさんは大喜びでした。

アンコールでは『花は咲く』をみんなで一緒に歌いました。歌いながら目頭をおさえる方もいました。
歌い終わって、或る方が「ちょっといいですか」と手を挙げて、「この歌を聞くと思い出すのよね…」と、震災当日の避難所での思い出を話し始めました。
「おにぎり1個だけもらえたんだけど、それが冷たくて冷たくて…」と実感のこもる話しぶりに、演奏家も参加者も皆、うん、うんと頷いていました。
「こんな気持ちは、被災した人にしか分からないかもしんないね…」
「こういうことを若い人たちに伝えて行かないとさ、これから災害が起きたら大変だよ」
「そうだよね」
今日のみなさんの会話には、何か切実なものがありました。

「新年度もまた来てねー!!」と熱いラブコールをいただきながら、本日の音楽サロンはお開きとなりました。
片付けをしていると、いつもお忙しい町内会長さんが久しぶりに顔を出して、「いっつもありがとね~」と音楽リーダーのお二人と復興センタースタッフをねぎらってくださいました。こちらこそ本当にお世話になっています。今年度もありがとうございました!