お知らせ
泉中央南「歌声サロン」_8月
- 2017.8.22
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仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、泉中央南町内会と
泉区まちづくり推進課と協働してこのサロンを運営しています。31日連続した雨降りもようやく今朝はひと休み、待ちに待っていた太陽が顔をのぞかせました。
さて、本日も音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さんとピアノ田村聡子さんが工夫を凝らしたプログラムを用意しました。歌にちなんだデコレーションや衣装などを毎回楽しみにしている参加者も多いようです。
今回は短かった夏を名残り惜しむ気持ちを込め、渚をイメージして貝殻やガラス玉を床に敷き、キーボードは夏祭り仕様に飾りつけ、後藤さんはマリンブルーのボーダーシャツで颯爽と登場しました。
最初に歌ったのは童謡『かわいい魚屋さん』です。ままごとする子供の様子が目に浮かぶかわいらしい歌で、みなさん弾むように歌っていました。後藤さんはウッドブロックを叩き、軽快なリズムで応援します。「童心に帰ったような」という言い回しはきっとこういうことを指すのでしょうね、声が伸び伸びと大きく広がってすごくパワフルな合唱になりました。
途中で、演奏家が「どなたかやってみませんか?」とウッドブロックを参加者に手渡すと、「え~できるかしら…」と尻込みしつつも、歌にのって楽しそうに叩いていらっしゃいました。明るい音色が湿気を吹き飛ばすようで気持ちがいいですね。続く2曲目は海の男、加山雄三の『君といつまでも』でした。いつも最初に後藤さんが見本として1番だけ歌うのですが、待ちきれない様子で一緒に口ずさむ人がたくさんいました。青春の一曲なのでしょうね。
「幸せだなぁ…」という例のせりふは町内会長さんにお願いしました。ちょっと照れつつも加山雄三になりきってマイクを握る会長さんにみなさん大ウケ。どっと大きな拍手が沸きました。このサロンを住民同士の交流の場として大事に思ってくださる会長さんのお心遣いが温かく、とてもありがたいです。
この後ももう1曲歌って「なんだか暑いねえ!」「冷房うごいてる?」と声が上がるほどの盛り上がりでした。さて、お茶を飲んでクールダウンした後は演奏家によるミニコンサートの時間です。
まずはしっとりとしたバラード調にアレンジされた『銀河鉄道999』が披露されました。田村さんが蒸気機関車のおもちゃで汽笛や線路の音を鳴らすと、まるで駅のホームにいるような雰囲気になって「おぉ~」と驚きの声をもらす人もいました。改めて聴いてみると、アニメソングながら大人がしみじみと聴ける歌なんですね。
続いては美空ひばり『お祭りマンボ』。
イントロが始まったとたん「あぁ!」「ひばりちゃん!」と多くの人が反応して、すかさずノリのいい元気な手拍子が起こりました。 後藤さんの歌い方がひばりさんに似ているところもあってみなさん大喜び。昭和の歌の女王は今もみなさんの心の中に健在なのだなあと感じました。言わずもがなのアンコールでは夏川りみの『童神』が演奏されました。沖縄の旋律をまとった子守唄がとてもやさしくて、さきほどまでの盛り上がった熱気をそっと鎮めてくれるようです。
後藤さんは子供をあやすようなしぐさで歌います。 目をつぶって聴き入る人やゆっくりとしたリズムに身を任せている人がいました。
ここに集まるみなさんはほとんどがご高齢の方ですが、かつてはみんな誰かの胸に抱かれて子守唄を聞かせてもらっていたのだなと、ふと思いました。それから人生山あり谷あり、いろいろな経験をへてここに集っていることを思うと、何とも言えない気持ちになります。
「苦しいこともあるだろさ 悲しいこともあるだろさ
だけど僕らはくじけない 泣くのはいやだ 笑っちゃおう」
本日3曲目にみんなで歌った『ひょっこりひょうたん島』の歌詞があらためて染みました。子どもの歌には時として深い洞察があるものですね。
恒例のお見送りでは参加者と演奏家の気さくな交流があります。「これどうぞ」と切ったスイカを持ってきた方や、「よかったら味見して」とサンマやカツオの煮付けを包んで持ってきた方がいらして、演奏家もスタッフも愛のこもった差し入れをいただきました。
今日も楽しい時間をありがとうございました。それではまた来月!