お知らせ

泉中央南「歌声サロン」_11月

2017.11.14

仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、泉中央南町内会と
泉区まちづくり推進課と協働してこのサロンを運営しています。

霜月の小雨そぼ降る午後、外は灰色の景色ですが、室内には紅葉の景色が広がっています。音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さんとピアノ田村聡子さんが持ち込んだデコレーションの数々が白い壁に映えて綺麗ですね。
さて、来て早々に参加者の何人かが「こないだ新聞見ましたよ!」「うん、載ってたねえ」と言いました。前回、地元紙の河北新報の取材を受けて今月初めにコラム記事になったのです。
「優子先生と聡子先生に見せようと思って持ってきた」「あら私も」と切り抜きを出す人がいました。「ほかにも切り抜き持ってきた人いますか?」と質問すると、「は~い!」と5、6人が手を挙げて切り抜きをひらひらさせました。音楽リーダーのお二人がいかに愛されているかが伝わって来ました。

 

ウォーミングアップの最中にあわててやって来た方が数名いました。「あー何とか間に合った~」「バスがなくってさ!もう」聞けば被災者関連の集まりが他所であったそうで、そこから駆けつけてきたそうです。間に合ってよかったですね。ご参加ありがとうございます。
今日の課題曲はまず『埴生の宿』から。みなさんよくご存じの郷愁漂う名曲ですが、ところどころ微妙な音階があって混乱している様子が見受けられました。後藤さんは音の上がり下がりを両手どころか全身で示し、みなさんはダンスのような指揮ぶりに大笑いしながらも、つられてちゃんと歌うことができました。

続いては童心に帰って『森のくまさん』を歌で追いかけっこしながら朗らかに歌い、最後はフォークソングの『風』をしっとりと歌いました。ちょっともの哀しい歌詞で、初冬の冷たい風に吹かれつつ来し方を振り返るさまは切ない感じですが、それを大勢で歌うことで、哀しいだけではない力強さや温かさも生じていたように思いました。

お茶の時間のミニコンサートで『ダニーボーイ』『恋人よ』が披露されました。どちらの曲も秋の終わりにふさわしいちょっとセンチメンタルな味わいがあります。後藤さんの感情豊かな歌いぶりに会場はしん、と静まり返っていました。
とは言え、歌声サロンはやはり明るい気分で締めたいと、演奏家のお二人はアンコールで『365日の紙飛行機』を演奏しました。みなさんも「ああ、朝ドラの歌ね!」とすぐ反応し、リズムに乗って体を揺らす人もいました。紙飛行機に導かれるようにすうっと爽やかな空気が会場を包んで、今日もお開きとなりました。

 

出口では演奏家と言葉を交わし、すがすがしい笑顔とともにみなさん帰って行きます。どうか風邪など引かないように、来月も元気にまたお会いしましょうね。