お知らせ
メモリアルコンサート_11月
- 2017.11.11
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音楽の力による復興センター・東北では今年度、
奇数月11日に「メモリアルコンサート」を企画制作しています。
東日本大震災の月命日にあたる日、市民のみなさんとともに、
音楽を通じてあの日に思いを馳せる場を設けたいと考えました。
(主催=仙台市)
震災から6年8か月の今日は穏やかな小春日和となりました。本日のメモリアルコンサート、出演はクラシックギタリストのお二人、佐藤正隆さんと小関佳宏さんです。先月七ヶ浜町で復興コンサートにご参加いただいたばかりです。会場にはおよそ80名の来場者がありました。ギターへの関心からかいつもより男性客が多いようにお見受けしました。
19世紀初頭のスペインの作曲家ソルの『小さな嬉遊曲』に始まり、昭和歌謡や唱歌のメドレー、オリジナル曲などギター二重奏ならではのハーモニーの数々を披露していただきました。
佐藤さんはご自身で作曲した『ディアリオ』を演奏するときに「震災後に作った曲ですが、日常を取り戻したいという思いで名付けました」と語りました。スペイン語で「日常」「毎日」という意味があるそうです。軽快なリズムに明るい旋律が踊るような曲で、その朗かさに込められた切なる願いを改めて感じました。
小関さんは『この空の下』という曲をギターの師に捧げるために書いたそうです。「先生が亡くなってから空を見上げることが多くなりました」と語りました。亡き人を想い、空を見上げる人は震災以降きっと数えきれないほどいることでしょう。海が怖くていまだに近づけない人がたくさんいますが、そんな人びともふと空を見上げて思いを馳せることはあるだろうと思います。今日の青空も多くの人びとの思いを受けとめているのかもしれません。
童謡『赤とんぼ』では客席のみなさんに歌っていただきました。一緒に歌うのがメモリアルコンサートでは恒例となってきました。しみじみと温かな歌声が重なりあって会場に一体感が漂います。声を出すと胸の中でふとほどけるものがあって柔らかな表情になるのがすてきだなあと思います。
最後の曲の前に「震災後はこの曲を演奏することにためらいがありました」と佐藤さんが言いました。「でもやっぱり、とても佳い曲なので…」とお二人はそっと弾き始めました。
うみはひろいな おおきいな
つきがのぼるし ひがしずむその『海』はアレンジがとても優しくて、とても穏やかな海の様子が浮かんで来ます。風の凪いだ静かな海の、寄せては返すさざなみのように二人のギターが呼びかけあい、応え合い、響き合っています。多くの人が目を閉じてしん、と聴き入っていました。最後の一音が消え入り、その余韻の中で、会場は静寂に包まれました。そうして一呼吸あってから、大きな喝采が沸きました。
ご来場の皆さん、演奏家の皆さん、どうもありがとうございました。