お知らせ

川の上・大地の会「うたごえ広場」へ

2017.11.1

石巻市小船越地区には追波川運動公園仮設住宅があり、津波被害のあった大川地区や雄勝地区、北上地区の方々が多くお住まいです。近くには防災集団移転地となる二子団地の整備が急ピッチで進んでいて、数年後には新しい住民が急増することになっています。現在そして今後のコミュニティづくり、地域交流の一つの機会として「大地の会」の活動が今年度から始まりました。川の上プロジェクトが月に一度主催する、高齢者を対象にした健康づくりサークルです。百歳まで自分の力で歩くことを目指して“貯筋”するための筋力トレーニング、認知症予防の脳トレなどに取り組んでいます。
歌うことは心身の健康に良い影響をもたらすとのことで、このサークルに「うたごえ広場」をお届けすることになりました。音楽リーダーは石巻市在住の声楽家・渡邉かれんさんと東松島市在住のピアニスト楠田由貴子さんです。

みんなで秋にちなんだ懐かしい唱歌の数々を歌いました。歌うことが大好きという方が多くいらして、朗々としたその声に演奏家のお二人が「すごいですねえ」と圧倒されそうな勢いでした。何人かは地域のコーラスに参加しているとのお話をうかがいました。

指あそびを取り入れた『もしもしカメよ』は脳トレ効果もあって、ちょっとした混乱がまた楽しくみなさん大笑い。
「先生、立って歌ってもいいですか?」と自発的に立ち上がり、また、歌うときの姿勢についてかれんさんが助言するとさっそく背筋を伸ばし、声の通り道を意識して発声を試す人がいました。その積極的な様子に演奏家は「次回やるときは二部合唱でもいいかもね」「そうね、ちょっとハードル上げても大丈夫そうね…」と作戦を練っていたようですよ。

会の最後に、演奏家によるプッチーニ『私のお父さん』と小椋佳『愛燦燦』が披露されました。みなさんうっとりと演奏に聴き入っていました。ちょっと涙ぐんでいた方もいらしたようです。或る人が「ピアノを弾くときもこんなに表情ゆたかに感情をこめて演奏するものなんですね」と、小さな発見と感動を楠田さんに伝えていました。

次回は来年2月に開催する予定です。さっそく次回へのリクエストがありました。玄関を出るみなさんは「ありがとうございました!」と笑顔で演奏家に挨拶していました。この笑顔の輪がもっと広がってゆくといいですね。新しい大地に歌の種まきをするような気持ちです。みなさんの健康づくりの中に歌も取り入れていただければさいわいです。