お知らせ

川の上・大地の会「うたごえ広場」_早春

2019.2.6

大規模な防災集団移転地の二子団地がそばにある石巻市小船越地区で地域に根差したコミュニティづくり、人材づくりを目指して活動する「川の上プロジェクト」は、月に一度、高齢者を対象にした健康づくりサークル「大地の会」を主催しています。復興センターでは季節に一度、この会に「うたごえ広場」をお届けしています。
会場の川の上・百俵館への道すがらに見る二子団地にはあっと言う間に戸建て住宅が建ち並び、時の流れを感じました。町内会も発足したそうなので、今年は本格的にまちづくりに取り組む年になるのでしょう。
今日も音楽リーダーは石巻市在住のソプラノ渡邉かれんさんです。伴奏は復興センター事務局員の千田が務めます。百俵館に居ついた地域猫のたまさんもお出迎えしてくれましたよ。

さて、かれんさんは面白いワークを用意してきました。深い呼吸のコツをつかむためにティシューペーパーを使うというワザです。

一枚取り出して「みなさん、鼻から空気を吸って顔に吸い付けてみてください」と言うと、「えー!」とあちこちで笑いが勃発。そして、「ティシューが空中に舞い上がるように勢いよく息を吐いてください」との指示で会場じゅうにひらひらはらはらと紙が舞い。みなさん「うわ~楽しい!」とかなり面白がってチャレンジしていました。
本日の課題曲の一曲目は『冬景色』です。或る人が歌詞の中に「人は畑に麦を踏む」とあるのを見て、「昔、麦踏みしたこと思い出すわ」と語りはじめました。宮城県は米どころで有名ですが、この石巻周辺は麦の産地でもあります。土から萌え出した芽のことや「かじるとね、ちょっと甘いの」と白い幼穂の様子を話してくださいました。

続いては『あの素晴らしい愛をもう一度』です。声を遠くに飛ばすように、特に高音は大きな円を描くイメージで歌うようにというアドバイスで一段と声が伸びやかになり、どんどんみなさんのエネルギーが高まってきたようでした。「せっかくですから立って歌いましょうか!」とかれんさんが誘うと、全員がさっと立ち上がって、右に左に身を揺らしてノリノリで歌っていました。3番まで歌いきるとちょっと汗ばむほどで、「わ~」と自然に拍手が湧くほど爽快な達成感がありました。

お茶で一服しながら楽しむミニコンサートで、かれんさんは『冬の星座』『オンブラマイフ』を歌いました。実は今日の会にかれんさんのお父さんが見学に来ていて、それを知った参加者の皆さんはとても驚いて「お父さんの声もぜひ聞かせてください!」「聴きたいです!」と熱烈なリクエストをしたところ、「それでは…」と『オンブラマイフ』を父娘共演してくださいました。お父さんは以前オペラの舞台にも立った経験があるそうで、迫力あるテノールと流麗なソプラノのハーモニーにみなさんうっとりと聴き惚れていました。最後の会に嬉しいサプライズでした。

「大地の会」が今年度3月いっぱいでひとまずの区切りを迎えることを受け、「うたごえ広場」は今日で最終回となりました。毎回、参加者のみなさんがイキイキと歌うことを楽しんでくださったので名残惜しい気持ちでいっぱいですが、最後だからこそ明るく元気に歌って締めることにしましょう。この会で長らく健康体操の指導を担当していた山口さんの提案で、最後にもう一度『あの素晴らしい愛をもう一度』を全員で歌いました。
「これまで届けていただいた音楽のおかげで、感動と元気をいただきました。ありがとうございました」と、ちょっと涙目になって挨拶する山口さん。その言葉にみなさん笑顔で大きく頷いていました。みなさんこれからもどうぞお元気で!この1年半お世話になりました。ありがとうございました。