お知らせ

みやぎの「花は咲く」コンサート2020 開催しました

2020.10.14

≪みやぎの「花は咲く」合唱団≫
かつて宮城野区の仮設住宅にお住まいだった方や津波被災地域にお住まいの
おおむね60歳以上の方々と毎月1回合唱の練習をしています。
2013年10月から続いている活動です。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

いよいよ〈みやぎの「花は咲く」コンサート2020〉の開催日となりました。今年の3月にいったんは中止となったコンサートですが、仕切り直して秋の開催に漕ぎつけることができました。宮城野区文化センターの共催協力をいただき、観客は完全予約制にするなどコロナ対策は万全の態勢で臨みました。通常の半分と決めた座席数に対し予想を上回る数のご応募をいただいて、お断りするのはとても心苦しかったです。芸術に触れる機会を心から欲している人がたくさんいることを、予約申込みの電話を通じて感じました。
さて、コンサートの第1部は合唱団講師による演奏です。ソプラノ齋藤翠さんはペスタロッツァ『チリビリビン』、ピアノ目々澤亜紀さんはショパン『華麗なるワルツOp.34-3』を披露しました。どちらの曲も3月に演奏するはずだったものです。ようやくご披露できました。そこには、コロナ禍のなか来場してくださったみなさんへの感謝の気持ちがこめられていました。

 

第2部はゲストの「音プラ♪ゾリステン」による演奏です。東京銀座にある老舗ビアホール「音楽ビヤプラザ・ライオン」に所属する演奏家のうち、4名が出演しました。ライオンは三十数年前の開店記念日が3月11日だったことから東日本大震災にひとかたならぬ心情を寄せ、東京でチャリティコンサートを多数開催し、集まったご寄付をもとに被災地へ赴いて支援コンサートを届けるという活動をずっと続けています。昨年11月に宮城県名取市を訪問した際にみやぎの「花は咲く」合唱団がお招きを受け、共演させていただいたことがきっかけとなり、本日のコンサートが実現しました。

 

本日登場したのはソプラノ末吉朋子さん、バリトン江原実さん、トロンボーン竹田年志さん、ピアノ斎藤美香さんです。日本歌曲やオペラアリア、カンツォーネ、ジャズ、そしてショパンのピアノ曲など、幅広いジャンルからの選曲と確かな技術に基づく表情豊かな表現でお客さんを魅了しました。
音プラゾリステンのみなさんは100名を超える大勢の前で演奏するのは本当に久しぶりとのことで、それぞれの胸に熱いものがこみあげているようでした。なかでもピアノの斎藤さんは仙台のご出身で、震災の時そして今回のコロナ禍の時にも帰るに帰れなかった故郷への想いがあふれ、涙で言葉にならない様子でした。

 

アンコールは仙台のご当地ソングの代表といえる『青葉城恋唄』。ゲストの皆さんの心づかいに、客席では目頭をおさえる人が散見されました。

いよいよ第3部は合唱団による演奏です。この日のために誂えた特製の合唱用マスクをして歌いました。マスクのおかげで緊張が減ったかどうかはさだかではありませんが、発声は妨げられることなく、柔らかなハーモニーが会場を包みました。『ゴンドラの唄』『荒城の月』『ふるさとの四季』を歌い、大きな拍手を浴びていました。

アンコールはゲストも一緒に『花は咲く』を歌いました。本当ならお客さんもご一緒に歌いたかったところですが、今回はぐっとこらえて心の中で歌っていただきました。さまざまな対策を講じつつも、こうしてまた音楽の場で実際に再会できたこと、演奏者と聴衆の双方が向き合う中にこそ音楽が生まれくることを改めて実感した日でした。
このコンサートにご来場くださった方、そしてご協力くださったすべての方に感謝申し上げます。ありがとうございました。