お知らせ

吉田浜「春まちコンサート」

2021.3.1

2017年からご依頼をいただくようになった、七ヶ浜社会福祉協議会主催の地区サロン。今年度も公演を予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて延期を余儀なくされていました。
年が明けても状況が落ち着かず、今年度中の実施は難しいかな・・・と思っていましたが、七ヶ浜社協さんのご協力で吉田浜地区にお伺いできることになりましたが。今年度は社協主催のイベントが軒並み中止となり、地区のみなさんが集まる機会がなくなってしまったそう。久しぶりのイベントに安心して足を運んでいただけるよう、会場内の消毒など万全の体制を整えてくれていました。

本日のご出演はパーカッションの熊谷昇子さん・布田恭子さんによる<こころ音(ね)>。登場するやさっそくご挨拶代わりの演奏が始まりました。曲は古関裕而作曲の『高原列車は行く』。その後も『とんがり帽子』『長崎の鐘』と古関メドレーが続きます。いつもならみなさん一緒に歌っていただくところですが、今回は歌詞カードをお配りして、それぞれマスクの下で小さく口ずさんでいただくようにしました。
歌で参加するのが難しい分、体を使って一緒に音楽を楽しんでもらうコーナーをもうけました。課題曲は『あんたがたどこさ』です。
まずは初級編、歌詞に”さ”が出てきたら手を叩いてみます。みなさんこれは難なくクリアできたので、次は”さ”以外の部分には両手で膝を叩くアクションを加えました。それもできると今度は足踏みも追加。3つの動きが登場するとちょっと混乱する人も出てきましたが、こちらも何とかクリアしました。ラストはテンポアップ!がんばって布田さんのお手本についていこうとする人、拍手を諦めてずっと膝を叩いている人、足踏みに一生懸命で手の動きが止まっている人など様々でしたが、みなさん楽しそうに参加してくれました。終わった後は体があたたかくなって、とてもいい気持ちです。

このように体を叩いてリズムを刻み、音楽を奏でることをボディパーカッションといいます。そこで次は、プロの演奏家によるボディパーカッションを披露してくれました。熊谷さんと布田さんの拍手する、腕や腰・足を叩く、足踏みをするといった動作によって生まれた音が重なり合い、しっかりと音楽を奏でているのを目の当たりにしたお客さんはびっくりしていた様子。「楽譜はどんなふうに書いてあるのかな」と興味を持つ人もいました。
続いて『マンハッタン』を演奏するにあたり、マリンバの前にたくさんの打楽器が並べられました。タンバリンやカスタネットといったよく知る楽器はもちろん、NHKのゴン太くんの声に使われていたクイーカ、特徴的な音が鳴るフレクサトーンといったあまり見かけない楽器、さらには明らかにおもちゃだと分かるものもたくさんあります。それらを前にした布田さんは、曲が始まると次々に楽器を交換しながら演奏していきました。軽快にカスタネットを鳴らしていたと思ったらスティックでウッドブロックを叩き出し、フレクサトーンを振ってブタのおもちゃをブーブー鳴らし・・・その鮮やかな動きの見事なこと!さらに床や壁を叩きながら客席を移動するパフォーマンスも見せてくれました。演奏の前に「叩いたり振ったり擦ったりして音が出れば、何でも打楽器になるんです」と話していたとおり、部屋中を楽器にしてしまいました。

 

 

今回のコンサートでは民話の語りというプログラムもありました。熊谷さんが「お話に合わせてその場で音楽や効果音を演奏する、ということをやってみたい!」と提案して実現したプログラムです。
題材となったのは、七ヶ浜町に伝わる「大根(おおね)明神のアワビ祭」というお話。たたりがあるから近づいてはいけないと言われていた岩場で漁をしていたひねくれ者の漁師が大しけにあい、今にも舟が沈んでしまいそうになったとき、岬にある鼻節神社に向かってお祈りしたところ神様に命を助けてもらった、というストーリーです。5分ちょっとの短いお話ですが、熊谷さんと布田さんが色々な楽器を使ってBGMや効果音をたくさん入れてくれるので、とても楽しく聴くことができます。お客さんも次はどんな音が鳴るか、わくわくしながら聴き入っていました。
最後は懐かしの時代劇『大江戸捜査網』のテーマソングで締めくくりました。テンポの速い曲を軽やかに演奏するお二人の動きに見とれつつ、軽快かつ緊張感のあるメロディを楽しみました。その後のアンコールに応えて演奏されたのは『春よ、来い』。暖かくなり、新しい生活に気持ちが浮き立つ春ですが、出会いと同じく別れを経験する季節でもあります。その切なさ、寂しさを感じさせる美しいメロディがマリンバの柔らかな音で奏でられ、しみじみと心に響きました。

 

 

終演後に記入をお願いした感想カードには、「楽しいことがあまりない中で、コンサートが聴けてよかった」と書いている方が何人もいらっしゃいました。何かと気が塞ぐことが多い状況だからこそ、ほんのひとときではありますが、みなさまに小さな楽しみをお届けしていけたらと思っています。ぜひ、またお会いしましょうね!