お知らせ

みやぎの「花は咲く」コンサート2021 開催しました

2021.3.7

≪みやぎの「花は咲く」合唱団≫
かつて宮城野区の仮設住宅にお住まいだった方や津波被災地域にお住まいの
おおむね60歳以上の方々と毎月1回合唱の練習をしています。
2013年10月から続いている活動です。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

仙台市宮城野区文化センターが毎年春に主催する震災復興交流事業「あなたのオモイ それぞれのカタチ」は、コンサートや朗読・演劇・展示などさまざまな企画を通して、東日本大震災からこれまでを振り返る場としています。みやぎの「花は咲く」合唱団もその企画に参加する機会をいただき、年に一度の目標にして練習に励んできました。しかし、昨年度は緊急事態宣言の影響で中止となり、今年度も一時は開催が危ぶまれましたが、感染症対策をしっかり取りながらなんとか実施できる運びとなりました。客席数を半分に減らし145名の来場者を迎えて、いよいよ開演です。
まずは講師演奏として、ソプラノ齋藤翠さんが瀧廉太郎『春』を、続いてピアノ目々澤亜紀さんがリスト『森のささやき』を披露しました。3月とは言え吹く風は冷たく、身のちぢこまる仙台です。お二人の演奏は来たるべき春への期待がふくらむような、きらきらとした光のきらめきを感じさせるものでした。

続くゲスト講師演奏は、藤原歌劇団のバリトン江原実さんです。昨年10月のコンサート出演のご縁から、その後2回ほど代行講師としてご指導いただきました。今日はピアノ瀧田亮子さんとの息の合った演奏をご披露くださいました。おなじみのカンツォーネ『オー・ソレ・ミオ』は会場からあふれんばかりの圧倒的な声量で、お客さんは万雷の拍手を送っていました。瀧田さんはソロでファリャ『火祭りの踊り』を演奏しました。この火祭りは邪気払いのための祭りだそうで、コロナ退散を願っての選曲です。情熱的かつダイナミックな演奏で会場の温度がちょっと上がったような気がしました。
お二人はかつて銀座にあった音楽ビヤプラザライオンで活動する音プラゾリステンのメンバーとして、被災地支援のコンサートを長年おこなってきました。2年前に岩手県釜石市、宮城県石巻市と名取市でツアーをした思い出を話しました。

さて、三部構成でお送りするコンサートの最後はみやぎの「花は咲く」合唱団が登場しました。いつも新曲を1年かけてゆっくり練習するので、今日の曲目は昨年10月のコンサートとほぼ同じものですが、その分練習を重ねて表現がより深まっていることを期待したいと思います。

 

この舞台に立つのも8回目となります。合唱団メンバーは堂々と舞台に立っていました。登退場もおぼつかなかった最初の頃を思うと、感慨深いものがあります。もちろん毎回とても緊張するし、歌のテンポが走ったり音程が外れたりもしますが、お客さんに見守られながら歌えることの喜びが表れているように見えました。
アンコールはゲストも交えて『花は咲く』を歌いました。舞台上にも客席にも涙を流しながら歌う姿がありました。

震災後に地域の被災者支援を担当していた宮城野区役所まちづくり推進課職員であり、この合唱団の初期メンバーでもあった我妻さんと庄子さんが応援に駆けつけてくださり、みんなで再会を喜びました。当時、単旋律で歌っていた『花は咲く』が今では二重唱になっていて、「すばらしいねえ!」とお二人はたいそう感激していました。
震災から10年。思うことは人それぞれですが、その気持ちも年齢も超えて音楽を通じて一堂に会することができたことに感謝したいと思います。ご来場の皆さん、ご出演の皆さん、そして宮城野区文化センターの皆さんに心より御礼申しあげます。どうもありがとうございました。