お知らせ

荒井東「音楽サロン」_12月

2021.12.21

仙台市若林区にある復興公営住宅である荒井東市営住宅町内会からの依頼で
2018年4月から音楽を楽しむ会をお届けしています。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

今日は荒井東で今年最後の「音楽サロン」を開催しました。団地の広場には町内会さんによるイルミネーションが飾られていました。
音楽リーダーのメゾソプラノ後藤優子さんとピアノ田村聡子さんも、たくさんの歌のクリスマスプレゼントを準備して会場入り。ポインセチアのオーナメントやリースで会場をクリスマス仕様にして参加者のみなさんが来るのを待っていました。

歌う前のウォーミングアップもかねて、今日の音楽サロンは脳トレからスタート。『上を向いて歩こう』の曲に合わせて指で1~5の数字をカウントしていくミニゲームを行ったのですが、歌って手拍子して数をかぞえて・・・と色んなことを同時にやらなければならないので、これがけっこう大変でした。
いつもはゆったりと構えている常連さんが一生懸命指を動かしていたり、歌詞カードが膝から落ちても構わずゲームを続けるみなさんの様子に、後藤さんのリードにも力が入っていました。最終的に万歳で”お手上げ”していた方もいましたが、みなさん楽しんでくれたようです。誰かの「けっこう疲れるね」という呟きに、みんなウンウン頷いていました。

今日は『かあさんの歌』と『川の流れのように』の2曲をみんなで歌いました。
そのうちの『川の流れのように』は原曲のキーのままだと高低差がありすぎて歌いにくいとのこと。確かに美空ひばりさんの歌い出しはとても低く(後藤さん曰く、女性ではなかなか出せない低さ)、サビに入ると高音がどんどん出てきますよね。そのため、今回はみなさんが歌いやすいキーになるよう田村さんが調整してくれたそうです。原曲よりは高いキーで、けれど市販されている楽譜では高すぎたのでちょっと下げて、と細かい調整をしてくれたそうで、とても歌いやすいキーになっていました。出しやすい高さで歌うと声も気持ちよく伸びていくのが分かります。ある女性は、歌い終わりにニコニコしながら「気持ち良かったです」と言っていました。
今日はみなさんとても大きな声で歌ってくれていて、後藤さんと田村さんも驚いていました。田村さんは「私たちはみなさんの歌を内番の特等席で聴いているんですよ」と言い、後藤さんも「今年も1年、みなさんの歌声に励まされてきました」と感謝の気持ちを伝えてくれました。

そのあとは音楽リーダーによるミニコンサートをお届けしました。
『ペチカ』や『北風小僧の寒太郎』『シクラメンのかほり』といった冬らしい曲を、ある人はじっと目を閉じて、またある人は小さく手拍子しながら楽しんでいました。田村さんのソロコーナーでは『見上げてごらん夜の星を』を弾いてくれて、ピアノに合わせて小さく口ずさむ声が聴こえていました。
プログラムの最後には『いのちの歌』という曲を歌ってくれました。歌う前に「生かされていること、みなさんに出会えたことに感謝して」と挨拶した後藤さんの歌声と、弾き語りでハモリを担当した田村さんのハーモニーが優しく響きます。その思いがこもった歌を聴きながら、何度も目元を拭っている人がいました。
アンコールには『ジングルベル』『きよしこの夜』のクリスマスソングをみんなで歌って、楽しく歌い納めをしました。年の瀬のお忙しいなか、ほんのひととき心温まる時間になっていれば嬉しいです。

今日久しぶりにお顔を見せてくれた女性は、実は長らく入院していたと教えてくれました。体調が良いからと足を運んでくれたそうで、「今日は久しぶりに大きい声で歌えて、楽しかった!」と晴れ晴れとした笑顔でお帰りになりました。
冬になると気分が塞ぎがちになる人も多いかと思いますが、そんなときはおうちでちょっと大きな声を出して好きな歌を歌って、気分転換をしてみてくださいね。