お知らせ
気仙沼市立大島中学校へ
- 2022.3.8
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気仙沼湾にうかぶ大島と本土を結ぶ気仙沼大島大橋が開通してまもなく3年になります。島への往来は格段に便利になりましたが、その一方で、創立75年の歴史を持つ気仙沼市立大島中学校がこの春で閉校することが決まりました。4月からは鹿折中学校に吸収されるそうです。
このたび、かつての卒業生から「最後の卒業式で校歌を演奏していただけないでしょうか」との依頼がありました。大島中学校校歌を作曲したのは芥川也寸志さんです。芥川さんは生前に仙台フィルハーモニー管弦楽団(当時は宮城フィル)の音楽総監督を務めていたことから、今回は仙台フィルメンバーによる弦楽四重奏カルテット・フィデス(ヴァイオリン松山古流さん・熊谷洋子さん、ヴィオラ御供和江さん、チェロ石井忠彦さん)に出演をお願いしました。
フィデスの皆さんは気仙沼でこれまで何度も復興コンサートをおこなっていて、気仙沼に深い親しみを感じています。コロナ禍で演奏の機会が減っている中、久しぶりに気仙沼で演奏できるとあってとてもはりきっていました。校歌を弦楽四重奏用に編曲してくださったのは同じく仙台フィルのチェリスト山本純さんです。また、事業部長の我妻さんも当日のサポートにいらして、仙台フィルの全面的なバックアップで今回の演奏が実現しました。うららかな日和に恵まれ、会場の体育館はやわらかな明るさに包まれています。保護者、教職員、在校生に見守られて9名の卒業生が新たな門出を迎えます。卒業生はみんな堂々と胸を張り、卒業証書を受け取っていました。震災当時、彼らはまだ幼稚園児でした。幼子を抱えて震災後の苦難を乗り越え、ここまで育てて上げた保護者の方々のご苦労を思うと頭が下がる想いがします。
来賓として、芥川さんの奥様と、校歌が完成した当時の先生もお見えになっていました。フィデスの演奏はサプライズとして秘密にしていたので、生徒たちはきっと驚いたことでしょうね。入場での『威風堂々』、式の最後に『大島中学校校歌』、卒業生退場では合唱曲『Unlimited』が演奏されました。
そして、演奏家から保護者と在校生へのプレゼントとして、気仙沼が舞台となったNHK連続ドラマ『おかえりモネ』主題歌が演奏されました。感激して涙ぐむ子や、半身を乗り出して演奏をみつめる生徒の姿がありました。
中学校はなくなってしまうけれど、ここで過ごした思い出と大島育ちの誇りは消えることなくそれぞれの胸にこれからも息づいてゆくことでしょう。たくましく未来を切り開いていってくださいね!*訪問にあたっては、今年度で活動を終了するNPOクウォーター・グッド・オフィス ( 理事長 四分一勝氏 ) 様より、ご支援をいただきました。
この11年間、亘理町・仙台市・大槌町等でご一緒させていただいたNPOクウォーター・グッド・オフィス「復興支援出前コンサート」。その意志を受け継ぎ、メンバーの皆様のお気持ちと共に、復興センターはこれからも活動を続けていきたいと思います。