お知らせ
みやぎの〈花は咲く〉コンサート2022
- 2022.3.6
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みやぎの「花は咲く」合唱団、年に一度の晴れ舞台の日がやってきました。
宮城野区文化センター主催の震災復興交流事業「あなたのオモイそれぞれのカタチ」プログラムの一つとして、「みやぎの〈花は咲く〉コンサート2022」を開催します。
冷たい風が吹きすさぶ荒天の今朝でしたが、赤ちゃんからお年寄りまでおよそ130名の来場者がありました。有難いことです。コンサートは三部構成でお届けしました。第一部の講師演奏では、まずソプラノ齋藤翠さんがモーツァルトの歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』から『恋は小さな泥棒』を披露しました。モーツァルトならではの軽やかなメロディに乗った歌声は春風のように会場を包みました。続いて目々澤亜紀さんがドビュッシー『亜麻色の髪の乙女』をピアノ独奏し、一音一音を丁寧に弾く様子をお客さんは耳を澄ましてじっと見守っていました。
第二部はゲストによる演奏です。今日は岩手県からアルト谷地畝晶子さんとピアノ阿部夕季恵さんをお招きしました。お二人はここ数年、岩手県の釜石市や大槌町などでの復興コンサート活動でご一緒しています。今日のために瀧廉太郎『花』や團伊玖磨『花の街』、ランゲ『花の歌』など、タイトルからして春爛漫なプログラムをご用意くださいました。
阿部さんが独奏した『花は咲く』はとても凝ったつくりのアレンジでドラマティックでした。いつも『花は咲く』を歌っている合唱団員も「同じ歌でもこんなに違う表情を見せるのか」と驚いたのではないでしょうか。
谷地畝さんはドイツ歌曲の『万霊節』について「日本でいうお盆みたいなもので、西洋にも亡くなった方の魂が帰って来るとされるお祭りがあります」と解説し、「亡くなった方も一緒に、みなさんで楽しんでほしいと思って、この曲を選びました」と語りました。深い豊かな歌声に聞き入る観客の胸には、それぞれの懐かしい人の面影が浮かんでいたことでしょう。
いよいよ第三部、みやぎの「花は咲く」合唱団の登場です。『懐かしの我がケンタッキーの家』『夢路より』メドレー、『翼をください』『見上げてごらん夜の星を』の3曲を歌いました。毎年のことながら緊張していた様子ですが、声の響きが意外なほどに美しいものになっていました。これまで何度か合唱団の歌を聞いているお客さんに「何か、上手くなったんじゃない?」と褒められました。今年度は感染症流行の影響で練習できない時もあり心配しましたが、何とか間に合ったようです。コツコツと努力を重ねてきた甲斐がありましたね。
そして、『懐かしの我が…』にある「今は涙ぬぐいたまえ、いざ歌わん我らの歌を」という歌詞はまさにこの合唱団のこれまでを象徴するものでした。故郷への想いと一歩を踏み出す勇気は聴衆の心に届いたことと思います。
アンコールはゲストも交えて『花は咲く』を歌いました。団員が楽譜を見ずに歌う姿に「長年歌い続けてきた自信が感じられました」と感激したお客さんからの声がありました。また、「久しぶりに生の歌声を聴けて涙が出た」「心が洗われるようでした」との声もありました。
今年の花は咲くコンサートは、おかげさまで無事に終えることができました。主催の宮城野区文化センターをはじめ、遠いところいらしてくださったゲストの谷地畝さんと阿部さん、当日スタッフとしてサポートしてくれた合唱団OBの齋藤邦彦さんと庄子勉さん、荒天の中を駆けつけてくださった来場者のみなさんに改めて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。また来年、お目にかかれますように。