お知らせ

鳴瀬サロン「冬のコンサート2022」

2022.12.10

東日本大震災のときに東松島市鳴瀬地区から仙台市内に避難した方々が、月に一度顔を合わせて交流を深める場として始まった「鳴瀬サロン」は現在も続き、118回を数えます。復興センターでは毎年冬に鳴瀬サロンにお招きいただき、復興コンサートをお届けしてきました。町が徐々に復興し、野蒜市民センターが開館してからは「故郷の皆さんとともに音楽を愉しみたい」とのご希望があり、ここ数年は野蒜に伺っています。

出演は鳴瀬地区出身のソプラノ齋藤翠さん(仙台オペラ協会)、バリトン鈴木誠さん(同)、ピアノ可沼美沙さんです。
モーツァルトの歌劇『魔笛』より『パ・パ・パの二重唱』で幕を開けた冬のコンサート、前半はプッチーニやスメタナによるオペラアリアの数々を、後半は昭和の歌謡曲やクリスマスソングをたっぷりとお楽しみいただきました。
また、マスク越しではありますが、みなさんで『冬景色』『北国の春』を歌い、「みんなで歌えたことがクリスマスのお祝いのようでした」「久しぶりに歌えて気持ちが良かったです」という声がありました。

可沼さんはリスト作曲の『飼葉桶のそばの羊飼いたち』を独奏しました。12曲から成る曲集『クリスマスツリー』を、ドイツ留学時代に同じ門下生たちとリレー演奏した思い出があるそうです。終演後、或るお客さんは「私の夢はドイツのクリスマスマーケットを巡ることです。今日、リストの曲を聴けて、なんだか願いが叶いそうな予感がします」とメッセージを書いてくださいました。
鈴木さんはウィスキーグラス(実は麦茶)を片手に『ホワイトクリスマス』を熱唱、翠さんはクリスマスメドレーで赤鼻の鼻メガネをつけて歌い、ちょっとした演出の妙にお客さんたちは大ウケしていました。

 

「心が温かく充実した気持ちになり、幸せです」
「震災前に宮戸の魚屋さんが『北国の春』を流して行商に来たことを懐かしく思い出します」
「また明日から前を向いて生活していこうと思いました」
「この場面に居られたことに感謝します」
みなさんの笑顔と数々の温かいメッセージに、演奏家はとても幸福そうでした。
みなさん、どうぞよいお歳をお迎えくださいますように。