お知らせ

代ヶ崎浜「新春コンサート」

2023.1.18

今日は代ヶ崎浜地区避難所に「新春コンサート」をお届けしました。このところ感染者が増えている状況もあって開催できるか心配していましたが、感染症対策を十分に行ったうえでなら、と地域のみなさんが予定通りの開催を決めてくれました。出演いただくのはヴァイオリン叶千春さん・ピアノ菅野明子さんによるデュオ「Bouquet of Music」です。お二人には今年度七ヶ浜の各地区で演奏していただいており、ちょうど一週間前にも花渕浜でのコンサートに出演していただきました。今日のお二人はおそろいのデザインのドレスを着て登場。鮮やかな赤とピンクにボレロの白が合わさって、新春コンサートらしいおめでたい色彩ですね。
コンサートは『春の海』で始まりました。ヴァイオリンとピアノという西洋の楽器が奏でる和の調べに、気分だけはお正月に逆戻り。その次に演奏したのはヴィヴァルディの『四季』より、第1楽章の「春」。同じ”春”でも先ほどの新春とは違って、こちらはいかにも春爛漫といった華やかな一曲でした。続いて菅野さんがショパンの『ノクターン(作品9-2)』を演奏。穏やかな調べに、みなさんうっとりとした様子で耳を傾けていました。

ピアノ独奏の前に、菅野さんが本日使っている電子ピアノについて紹介してくれました。グランドピアノよりずいぶん小さい感じがしますが、鍵の数はどちらも同じ88鍵なんだそう。ピアノ1台でオーケストラの全ての楽器の音域をカバーできるので、【楽器の王様】とも呼ばれるんだとか。
「そう言われると挑みたくなりますね」と叶さんがヴァイオリンとピアノの音域の広さで勝負を挑みました。まずは低音、とヴァイオリンの最低音を叶さんが鳴らすと、菅野さんは余裕の表情で半分より少し下かな?という位置の鍵盤を叩いて同じ音を鳴らしてみせました。低音域の広さはピアノが圧勝で、その差にお客さんも驚いていました。では高音域ならどうだと、二人はどんどん鳴らす音階を上げていきます。結果は叶さんが頑張って音を鳴らして、ヴァイオリンが辛勝といったところ。それぞれの楽器が演奏できる音域の違いを実演で確認するのは新鮮な体験だったのではないでしょうか。
音域の広さではピアノにかないませんが、「ヴァイオリンの良いところは、弾きながら歩けるところです」と叶さんが次に演奏したのはモンティの『チャルダッシュ』。言葉のとおり緩急の激しい旋律を奏でながらお客さんの間を歩いてみせました。弓の動きや弦を押さえる指の動きがよく見える距離で演奏してもらって、みなさん興味深そうに観察していました。

日本の唱歌や童謡がメドレー形式で登場する「日本の四季めぐり」の演奏にあたっては、全部で何曲出てくるか数えながら聴いてくださいね、とアナウンスがありました。全体で3分ほどの短い演奏でしたが、組み込まれた曲は何と11曲もありました。ヴァイオリンとピアノが同時に違う曲を弾いているパートもあり、何曲か聞き逃した人が多かったので、正解者は2人だけ。良い耳をお持ちです!
その後はお二人が気に入って、ここ何年かのコンサートで必ず演奏しているというシュトラウス作曲『モルゲン!』や、素敵なアレンジが入った『七つの子』、ご当地ソング『青葉城恋唄』を演奏してくれました。Bouquet of Musicの活動の柱として【あまり知られていないけど、自分たちが素敵だと思った曲を紹介する】【古くから日本にある曲を伝えていく】という2つを掲げているそうで、今回もそうした曲を取り入れてくれました。「その時々の流行りの曲の良さもありますが、古くからある良い曲もずっと伝わっていけばいいな、と思います」という叶さんのお話に、お客さんもウンウンと頷いていました。

アンコールには、叶さんが年末に紅白歌合戦を観ていて思いついた、加山雄三さんの『海 その愛』を演奏しました。ヴァイオリンって何でも弾けるんですよ、と叶さん。クラシックや唱歌、歌謡曲に加えて演歌まで、本当に幅広いジャンルの曲を演奏してくれました。叶さんがこの会場から海は見えますか?と尋ねると、お客さんは「あっちあっち」「すぐそこだよ!」と一斉に窓の外を指さして教えてくれました。確かにすぐ横の公営住宅の建物の間から海が見えています。ここは窓が大きくて、海がよく見えていいですね、と微笑んだ叶さんと菅野さんが演奏する『海 その愛』は華やかで力強い響きで、聴いていると海のように広く大らかな心持ちになれました。

 

終演後の挨拶で七ヶ浜町社会福祉協議会の会長さんが「音楽を聴くことで、明日への活力にしてほしい」とお話されていました。まだまだ油断できない状況が続きますが、ときには音楽を聴いて心癒される時間を持ちながら暮らしていきたいですね。