お知らせ

メモリアルコンサート vol.40

2023.8.11

音楽の力による復興センター・東北では
東日本大震災の月命日にあたる11日に、市民のみなさんとともに
音楽を通じてあの日に思いを馳せる場を設けたいと考え、
「メモリアルコンサート」を企画制作しています。
(主催=仙台市/協力=せんだい3.11メモリアル交流館)

今年度最初のメモリアルコンサートとなる本日は、チェロ山本純さんとピアノ大岩千華さんが出演しました。会場のせんだい3.11メモリアル交流館には布細工の七夕飾りが風になびいていて、とても華やかな雰囲気でした。連日の暑さにもめげずご来場くださったお客様でコンサートは2回とも満席となり、演奏家のお二人も張り切っていました。

冒頭で純さんが「どうぞ気楽に聞いてくださいね。僕も気楽に弾きたいので…」と声をかけると、客席の空気がふ~っと緩みました。幕開けはエルガー『愛の挨拶』でした。或るお客さんから「これは何て言う曲?」と質問が投げられると、純さんは待ってましたとばかりに「嬉しいなあ、みなさんも質問でも感想でもしゃべってください!」と受けていました。「でも、おしゃべりしてるとあっと言う間に1時間とか過ぎちゃうので…」と時計を気にしながら次の曲へ。
チェロの名曲と言えばこの曲ははずせないでしょう、カザルス『鳥の歌』が演奏されました。多くの方が目を閉じて、じいっと聴き入っている様子がありました。

続いては、大岩さんがピアノソロでリスト『愛の夢』第3番を演奏しました。すばやい指さばきが要求される曲です。純さんは「中学生の頃にこの曲を弾きたくて楽譜を買ったのですが、結局弾けずじまいでした…」と語り、大岩さんに拍手を贈っていました。

トークの中で、純さんはバッハのG線上のアリアを例に出し、
「この曲は、結婚式とお葬式の両方で演奏されることがとても多いんです」と言いました。言われてみると、確かにそうです。考えてみると不思議ですね。
つまりは「聴く人の、その時の気持ちに寄り添ってくれるのが音楽の良いところだと思うんです。音楽とどういう出会い方をするかが大切なの」と語りました。2011年の3月からずっと復興コンサート活動で被災地のあちこちで演奏してきた純さんは、たくさんの人たちにたくさんの音楽との出逢いを手渡してきた経験をお持ちです。さまざまな光景を思い浮かべながら今日の演奏に臨んでいたのではないでしょうか。

最後はピアソラ『リベルタンゴ』でした。弓の弦が切れるほどの激しさで弓を振るう純さんのチェロに、大岩さんがこれまた激しくもクールなピアノで応えます。まさにタンゴのような丁々発止の演奏に、圧倒されるようにして聴き入るみなさん。終わった瞬間に大喝采が沸きました。
アンコールは武満徹『翼』でした。純さんは途中からチェロを鍵盤ハーモニカに持ち替えて演奏し、温かい音色にほっこりするエンディングとなりました。
終演後にお客さんが書いたメッセージカードには「心が潤いました」と複数ありました。砂漠のオアシスと言うか、連日の猛暑で心身ともに疲れ切っていたところにやさしく降り注ぐ雨のようなひとときになったようですね。みなさまどうもありがとうございました。