お知らせ
あすと長町第二「ときめきコンサート」
- 2023.9.6
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仙台市太白区の長町駅周辺には大規模な災害公営住宅があります。今朝はそのうちの1つ、あすと長町第二市営住宅に伺いました。この数日、仙台は雨が降ったり止んだりの落ち着かない天候で、今朝もざあざあ降りでしたが、「雨ニモ負ケズ」の精神で復興コンサートをお届けしたいと思います。
さて、今回の出演はカルテット・フィデスのみなさん(ヴァイオリン松山古流さん、ヴァイオリン熊谷洋子さん、ヴィオラ御供和江さん、チェロ石井忠彦さん)です。
久しぶりのご参加で気合いも充分、チャイコフスキーから美空ひばりまで全13曲のプログラムを用意してくださいました。
毎週水曜日はこの市営住宅の住民の会が主催する「カフェ・ランラン」の日で、会長さんがマスターを務め、淹れたてコーヒーをふるまいます。雨の音とコーヒーの香りに包まれながら、リハーサルを終えました。
大雨で出足が心配でしたが、60代から90代まで13名の方が来場しました。オープニングは『情熱大陸』です。おなじみの曲の生演奏にみなさん聴き入っていました。曲の一節を分解して土台、内声部、主旋律をそれぞれ弾いて弦楽四重奏の仕組みを解説する場面もありました。どれが欠けてももの足りなくて、全員の調べが合わさると何と豊かな響きとなるか、みなさん実感して納得していた様子です。
團伊玖磨『花の街』は敗戦直後の東京で、人々の荒んだ心に美しいものを届けたいという気持ちで作られたという話を御供さんがすると、「私は生まれていたけど、東京の人じゃないからねえ…」と90歳を超えたご婦人が笑って言いました。別の方は「これ、合唱コンクールの課題曲よね?応援しに行ったんだけど…」と思い出を語り、演奏が始まると一緒に歌を口ずさんでいました。多忠亮『宵待草』は熊谷さんと御供さんが大好きな曲で、ちょっとせつない調べが今日の雨にもしっとりと沿うようです。「あら~昔の恋を想い出すわねえ」と或る方が言い、わっと笑いに包まれました。
日本の抒情歌を中心に構成されたプログラムは春から秋へと移ります。
ここで御供さんが突然「吉幾三がお好きな方は?」と質問しました。あちこちで手を挙がったのを見て、「今日は四重奏用には間に合わなかったので、ソロで弾きます」と、『雪国』をヴィオラ独奏しました。ファンには嬉しいサプライズですね。「これで日本の四季をひと通り演奏しました!」と言う御供さんに、やんやの拍手が沸きました。
終演後は演奏家もお茶のみにまざって、おいしいコーヒーをいただきながら、あれこれおしゃべりに花を咲かせていました。
「私の青春時代の歌ばっかりで、ホントたのしかった」
「ホールで聴くのとはまた違って、今日は良かった」
「今度はシューベルトを聴かせてください」「私はショパンがいいな」
「戦争をとめられるのは、音楽とか芸術のちからだと思うよ」
「また来てね!」「はい、来ます!」「健康に気をつけて、がんばってくださいね」警報が出るほどの土砂降りは、いつしか小雨になっていました。名残惜しくも、和やかな雰囲気の中でお開きとなりました。参加者のみなさんの温かさとご厚意にこちらも元気をいただきました。はい、またきっとお会いしましょうね。