お知らせ

荒井東「音楽サロン」_9月

2023.9.19

仙台市若林区にある復興公営住宅の荒井東市営住宅町内会からの依頼で
2018年4月から音楽を楽しむ会をお届けしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

東北でも過去最高の暑さとなった8月が終わり、気付けば9月も半ばを過ぎました。ちょうど先月の音楽サロンがあったお盆の頃を過ぎれば少しは涼しくなるかと期待していたのですが、本日も仙台の気温は30℃超え!途中でちょこっと降った雨のせいで湿度も上がり、何とも蒸し暑い一日となりました。
冷房のある部屋から一歩も出たくない、と思わせるような気温でしたが、音楽サロンにはご新規さんも含めてたくさんの方にご参加いただきました。音楽リーダーの演奏を楽しみにいらしたそうで、自分で歌うのはちょっと恥ずかしいと気兼ねした様子でしたが、音楽を聴きたい!という方のご参加も大歓迎です。思い思いに楽しんでいただければと思いますので、これからもどうぞお気軽にいらしてくださいね。
音楽リーダーを務めるのはソプラノ鈴木真衣さん・ピアノ田村聡子さんのお二人。「今回も季節に合わせて秋らしい曲を選んできたつもりだったんですけど、こんなに暑いと来月に回したほうが良かったかも」と話すお二人も暑さに辟易している様子。本当に、早く早く涼しくなってほしいですね。

最初は『証誠寺の狸囃子』で声出しと脳トレを行いました。歌いながら決められたリズムで手を打っていく脳トレだったのですが、①まずは拍の頭に叩く→②次は裏拍で叩く→③1拍の間に2回手を打ったり2回休みがあったりするリズムで、とだんだんと難しくしていくと、最初は余裕の表情で手を叩いていた人もだんだんと眉間にしわを寄せるようになっていきました。鈴木さんの「手先から皆さんの動揺が伝わってきました」という指摘に苦笑い。最終的には歌いながら叩く、を諦めて、「うん(休み)たん(叩く)、うんたん、うんたんたん・・・」とリズムを口ずさみながら手を叩きました。連日の暑さでとろけた頭がきゅっと引き締められたような気がします。
続いてはここ最近合唱に挑戦している『花』を2パートに分かれて練習しました。まずは通して、と1回歌ってみると、先月よりも確実に美しいハーモニーを奏でていました。今回は音楽的なアドバイスも色々ともらって、さらなるレベルアップを目指します。誰かに伝えたいという気持ちをこめて、視線まで気を配って少し上向きに、息継ぎをするときのコツは、指揮者を見ると全員の歌声の響きがまとまるetc・・・1つ1つは小さな要素ですが、そうした細やかな部分に注意すると歌声がガラリと変わるのです。歌っている本人たちにもそれが感じられるのでしょうか、とても楽しそうに歌っている様子に、鈴木さんも田村さんも感動していました。
さて、『花』の合唱は今回でいったんお休み(2月頃に再開するまで冬眠です、とは鈴木さん談)。来月からはクリスマスソングを練習する予定です。12月の音楽サロンでみんなでクリスマスソングを歌えたらいいですね!

 

この先は音楽リーダーによるミニコンサートの時間です。
まずは9月29日の中秋の名月にちなんで月に関する曲を、ということで『月の沙漠』です。詩を書いた加藤まさを は沙漠どころか海外に行ったことがなく、想像の中の沙漠の情景を描いたそう。「現実の沙漠とは全然違うかもしれないけど、自分の憧れの沙漠を想像して書いたってすごくロマンチックでいいですよね」という鈴木さんの解説に、参加者は頷いていました。短調のどこか寂しげなメロディで歌われる異国のおとぎばなしのような情景に、みなさんうっとりと聴き入っていました。
続いて秋の花が登場する『庭の千草』と『秋桜』を歌ってくれました。鈴木さんのご実家のお隣さんの庭には大きなコスモス畑があるそうなんですが、今年はまだ咲いている様子が見られないとのこと。涼しくならないから開花が遅れているんでしょうか、と心配そうな鈴木さんに、参加者の男性から「暑さでやられちゃったのかも」と声があがります。荒井東市営住宅には「フラワーサークル花っこ」というサークルがあり、集会所の隣にある花壇もいつもきれいに手入れされているのですが、そこの花もあまりの暑さでダメになってしまったんだとか。植物は人間のように冷房をつけてしのぐわけにもいきませんし、影響はより大きいのでしょうね。それでもしみじみとした『秋桜』に耳を傾けていると、気持ちだけは気持ちのいい秋晴れの縁側にいるようでした。
アンコールに応えて歌ってくれたのは『comin’ through the rye(ライ麦畑で会おう)』という曲でした。英語の曲名だとピンとこないかもしれませんが、誰かさんと誰かさんが麦畑~♪の歌い出しで知られるドリフターズの『誰かさんと誰かさん』の原曲です。日本語のほうは「チュッチュチュッチュしている いいじゃないか」などコミカルな印象が強い歌詞ですが、実は原曲の歌詞と大筋の意味は同じなんだとか。それでも鈴木さんが英語で歌ってくれた『comin’ through the rye』はドリフターズのそれより幾分しっとりとした調子で、懐かしくも新鮮な気持ちで聴くことができました。

秋の訪れを待ち望む気持ちで秋らしいプログラムを楽しみました。次回の音楽サロン開催予定日は10月24日(火)、さすがに秋深まる頃となっていることを祈ります。季節外れの暑さはもう少し続くようなので、みなさんくれぐれも体調に気をお過ごしくださいね。来月もお待ちしています!