お知らせ

田子西「うたカフェ♪」_10月

2023.10.27

仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では
町内会主催のサークル活動として、この住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌を楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、音楽リーダーをコーディネートしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

暑くもなく寒くもない、秋晴れの一日となりました。今月の「うたカフェ」はいつもと違って第4金曜日の開催となり、集まるみなさんも予定が変わって、人数は少ないのでは…と予想していましたが、受付を喫茶ひこ西垣さんが見かねて手伝ってくださるくらいに、次から次へとお客様が!「あ、コーヒーのいい匂いがするね~」と入るなり気づかれた方もいらっしゃいました。少し離れたところにある、田子西第二市営住宅の方や、隣り合う田子西中央団地など、ご近所からも参加いただき賑やかです。音楽リーダーは仙台オペラ協会のソプラノ岩瀬りゅう子さんと、ピアノの冨樫範子さんです。

まずは身体ほぐしから。ゆっくりグー・パーしたり、ゆっくり1から10まで指を使って数えたり、首をゆっくり前に後ろに倒して、隣の人を向いたら、また反対に…時間をかけて、ゆっくりとストレッチです。途中からは、富樫さんによるピアノのBGMも加わって、ゆったりとした気分で。「上に手を伸ばして~そのまま前に降ろしたら、地球を押すようにぐーっと前に腕を出しましょう~」そんな岩瀬さんの言葉に、イメージが浮かんでとても気持ちよく伸ばすことができました。

今日の歌は昭和2年に発表された「時計台の鐘」から…でしたが、この曲は、みなさんも初めて聴く歌だったようで…歌詞を読み、ピアノでメロディーを弾いていただいて丁寧に進めました。「札幌の時計台、行ったことある方いらっしゃいますか?」の声に数人の手が挙がります。「意外と、こじんまりとして、あれ?ていう感じなんですよね」と岩瀬さん。「昔は、周りに何もなくて、あの時計台だけがぽつんとあったので、もっと大きく感じたそうですよ!」そう教えてくださる方がいらっしゃいました。へぇ~!続く「長崎の鐘」は朝ドラ「エール」でも取り上げられた古関裕而さんの作曲。ご存じの方が多く、悲しいメロディーから、明るいメロディーへと移るところを「希望をもって、歌いましょうね」との岩瀬さんのアドバイスに、すっと姿勢の良くなる方がたくさんいらっしゃり、力強い歌声が聴こえてきました。「さて、いよいよ…」と、次は「斎太郎節」です。「エンヤードット」組と、歌う組に分かれ、後半は掛け合うところもある、という少し難しい編曲です。「エンヤードット、エンヤードット」の掛け声は、櫂を漕ぐ仕草をみんなで真似しながら、声を合わせてみました。やってみると次第に息も合ってきて、なんだか楽しく、身体もぽかぽかとしてきました。「あれは エー」「あれは エー」と輪唱になるところは、歌い出しを岩瀬さんが合図をしてくださるのですが、なかなか思い切って飛び込むのが難しい…!そして、みなさんハッスルし過ぎて(?!)大分喉が渇いてしまいました。「ここでコーヒータイムにします~」喫茶ひこさんが、次々にコーヒーを注いでくれます。田子西町内会からの小さなチョコの差し入れと一緒に、ひとときのコーヒータイムとなりました。しばらくすると、冨樫さんがピアノを弾き始めます。曲は、とてもおしゃれな編曲の「紅葉」でした。コーヒーを片手に口ずさむ方もいらっしゃれば、おしゃべりが止まらない方も。なんとも贅沢な、午後のひとときとなりました。

ピアノの音が消えていくのを見計らって、岩瀬さんが「さぁ、最後の曲を歌いましょう!今の朝ドラ、見てる人~?」半分以上の手が挙がりました。曲はその朝ドラの主人公、笠置シズ子が歌った大ヒット曲「東京ブギウギ」です。テンポのよいこの曲も、生伴奏で歌う贅沢にみなさんノリノリです。あまり歌い慣れないコーダ部分も何度か練習して、最後の「ヘイ!」ではみんなでグーを空に向かって、「ヘイ!」と決まりました。最初に会場に来ると、手首で体温を測ってもらっているのですが、間違いなく、1度か2度、みなさんの体温も上がったような気がします。

最後は岩瀬さん富樫さんによるミニコンサート。「ウィーンわが町」をドイツ語と日本語とで歌ってくださいました。3拍子にワルツのこの曲、ドイツ語がわからなくとも、ついつい音楽に乗って体が右に左にと揺られます。外からの陽ざしはぽかぽか、心も温かくなりながら、みなさんと今日も集い歌えたことに感謝しつつ、楽しい時間はあっという間でした。

「きっと来月は、ぐっと寒くなっているだろうね」そんな会話を喫茶ひこさんともしながらお別れしました。来月は、また第3金曜日に戻ります。あったかいコーヒーを用意して、お待ちしております!