お知らせ

メモリアルコンサート vol.42

2023.11.11

音楽の力による復興センター・東北では
東日本大震災の月命日にあたる11日に、市民のみなさんとともに
音楽を通じてあの日に思いを馳せる場を設けたいと考え、
「メモリアルコンサート」を企画制作しています。
(主催=仙台市/協力=せんだい3.11メモリアル交流館)

曇りの空からときおり日が差しますが風は冷たく、やがて来る冬を感じさせます。
今日の出演はヴァイオリン門脇和泉さんとピアノ門脇麻美さんのお二人です。和泉さんはクールな雰囲気のドレスシャツで、麻美さんは深い青色のドレスで登場しました。

エルガー『愛の挨拶』で始まり、続いてカッチーニ『アヴェ・マリア』が演奏されました。この曲の作曲者については諸説あるようですが、少し憂いを帯びながらも激しく歌い上げるような旋律の美しさには心打たれます。多くのお客様がじいっと耳を澄まして聴いていました。
懐かしの唱歌がちりばめられた山口景子編『日本の四季メドレー』では、和泉さんが子供の頃によく行っていた祖父母の家での思い出を語りました。フキノトウを摘んだこと、田んぼの用水路で遊んだこと、焼きいもをつくろうとして失敗したこと…四季折々の光景が目に浮かぶようですね。多くの方が演奏を一緒に歌を口ずさんでいました。きっとみなさんそれぞれの故郷の情景と一緒に歌っていたのでしょう。

後半は雰囲気を変えて、ピアソラ『オブリビオン』『リベルタンゴ』が披露されました。『オブリビオン』は「忘却」という意味だそうです。忘れたいこと、忘れられないこと、忘れたくないこと…忘れるということには諸相あります。
「この曲は、忘れることそのものではなく、忘却に至るまでの過程、忘れるまでに入り乱れるさまざまな感情をメロディにしているような気がします」と麻美さんが語りました。今日ここで聴いている方々の中にも、「忘却」について向き合ってきた人がいるはずです。いつか心安らぐ時が訪れますようにと祈るばかりです。
アンコールはジブリ映画「かぐや姫の物語」の主題歌『いのちの記憶』が演奏されました。和泉さんは「今のすべては過去のすべて、今のすべては未来の希望という歌詞がすてきだなあと思って、選びました」と言いました。お二人が紡ぐやさしい調べに、ある人は目を閉じて、ある人は涙ぐんで、耳を澄ましていました。

終演後、お客様からは
「今回初めてこのメモリアルコンサートを見ました。こんなに演奏者と距離が近いコンサートははじめてだったので、とても良かったです。演奏が心にしみて途中で泣きそうになりました」
「小さい頃を思い出してうるうるしました。選曲が良く、癒されました」
などの声がありました。出演者のみなさん、ご来場のみなさん、どうもありがとうございました。