お知らせ

田子西「うたカフェ♪」_11月

2023.11.17

仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では
町内会主催のサークル活動として、この住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌を楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、音楽リーダーをコーディネートしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

うたカフェの時はいつも晴れる、と思っていましたが、今日は台風のような激しい風と雨が吹き付けています。この天気では参加者が少ないかな…と心配しましたが、ふだん並みの参加者が集まりました。風雨の中のご来場を労うと、或る方は「だって楽しみにしてるんだもの!」と笑顔で返してくださいました。
今日も音楽リーダーは仙台オペラ協会ソプラノ松本康子さんと岩瀬りゅう子さん、ピアノ富樫範子さんです。松本さんは今日のプログラムの雰囲気に合わせて、ボルドー色の装いで登場しましたよ。

まずは背中や肩甲骨まわりをゆるめ、準備体操として『大きな栗の木の下で』を振り付きで歌いました。日常生活で腕を真上に伸ばすことは少ないので、けっこう効きます。

さて、本日のプログラムは『まっかな秋』『サン・トワ・マミー』『枯葉』という深まる秋にちなんだ歌の特集です。
最初に『まっかな秋』を松本さんと岩瀬さんが二重唱で歌いました。
可愛らしい歌詞の童謡もハーモニーを加えると、とてもゴージャスな歌曲になるものですね。ハーモニーがもたらす、この心地よさは何なのでしょう。
お二人の温かな声で今日の寒さも忘れるようでした。その後、みなさんは童心に戻って元気いっぱいに歌いました。

続く『サン・トワ・マミー』について、松本さんが「未練たっぷりに歌ってください」と言うとみなさんは苦笑い。でも、恥ずかしいという気持ちはいったん脇において、歌の主人公になりきってそのドラマ性を楽しむのも、うたカフェの醍醐味ですので、どうぞお試しください。
『枯葉』では、まさに枯れ葉が舞い散るようなアンニュイな歌い方を練習しました。松本さんがひらひらと手を振り下ろすのに合わせて「時はぁあぁ還ぇえぇらぁぁずぅぅ」と声を揺らします。つられて首も揺れている方もいます。また、「ああ」という感嘆詞はしゃくると言うかこぶしを回すと言うか「ぅあぁあ」と、明瞭な発声を越えたところにある表現を求められました。
さらに、「息をいっぱい吸い直して歌うのがコツです」とアドバイスがあり、みなさんは「シュッ」と吸う音が聞こえるほど呼吸を意識して歌いました。肺活量も上がりそうですね。

喫茶ひこのマスターに西垣さんが淹れたコーヒーで一服した後は、松本さんがその昔スナック菓子のコマーシャルソングで有名だった『いいもんだ故郷は』を披露しました。当時歌っていた三橋美智也を思い出したのか、間奏のたびに拍手が起こって歌謡ショーのような盛り上がりになりました。岩瀬さんは『きょうもひとつ』を歌い、優しい声がしみじみと染みるようでした。ふと気がつけば、雨はやんでいて、遠くの雲間から青い空が見えていました。やはりうたカフェの日は晴れるみたいです。

お帰りの時に、或る方が冗談めかして言いました。
「年を取ると体調管理が大変なのよ~」「そうなの!だから養命酒飲んでうたカフェに備えるの」「あははは、そうそう」
これから厳しい冬に向かって、毎日の養生が大事ですね。声を出して、歌って、笑って、朗らかに健やかに過ごしましょう。