お知らせ
Bouquet of Music の3日間ツアー
- 2023.12.5
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今年もあっという間に師走ですね。仙台在住の音楽家デュオ Bouquet of Music(ヴァイオリン叶千春さん&ピアノ菅野明子さん)が3日間連続の復興コンサートを行ないました。
◆12月3日(日) 仙台市太白区・あすと長町市営住宅◆
JR長町駅のそばにある復興公営住宅の自治会からクリスマスコンサートの依頼がありました。コロナ禍で集会所での活動を控えていましたが、4年ぶりにようやくクリスマス会を開催する運びとなったそうです。
集会所前のエントランスでは、朝からクリスマスツリーの飾り付けが始まっていました。子供もお年寄りも一緒になってデコレーションを楽しんでいます。
イルミネーションの点灯式のあと、コンサートが始まりました。アンダーソン『そりすべり』ほか、クリスマスソングのメドレーなどが披露され、参加者は手拍子したりリズムに乗ったり、じつに愉しそう。
最後にみんなで『きよしこの夜』を一緒に歌い、ほっこりとした和やかな雰囲気が漂いました。
この住宅が完成した2014年に、ヴァイオリンの千春さんは復興コンサートを届けに来ています。今回9年ぶりの登場ですが、お客さんの中には「覚えてるよ!」「あの時も聴いてたよ」と声を掛けてくださる方が何人かいらして、嬉しい再開となりました。
終演後、80代のご婦人が「こないだまで入院してたんだけど、今日の演奏で元気をもらいました!」とこぶしを高く差し上げ、朗らかな笑顔で挨拶してくださいました。「また来てね!」の声に「はい!」と応える演奏家のお二人でした。◆12月4日(月) 宮城県東松島市野蒜・デイサービスセンターみのり◆
津波被害の大きかった旧野蒜駅にほど近い地区で、令和元年に新設されたデイサービスセンターからの依頼で、何度か復興コンサートをお届けしてきました。今回は1年4か月ぶりの再訪です。
普段の利用者さんたちに加え、ご近所の人たちも混ざって、会場は大にぎわい。演奏が始まったとたんに、感極まって涙を流す方もいました(音楽がとても好きな方だそうです)
中国地方の子守唄ほか各地の子守唄を集めたメドレーでは、客席から自然と歌声が湧いてきて、演奏家のお二人が驚くほどでした。
演奏の最中に参加者の皆さんの表情がみるみるうちに生き生きしてくるのがわかります。じいっと凝視する人、ひらひらと手を動かす人、人それぞれに音楽の振動を感じて受け止めている様子がうかがえます。
文部省唱歌メドレーを演奏するときに、千春さんが「何曲あるか数えてみてください」とクイズを出すと、真剣な面持ちで指を折り折りかぞえる人、途中であきらめる人などの姿がありました。弾き終って「正解は○曲です!」と答えが発表されるや、「ほーら、当たった!」と得意満面に自慢する方がいて、その様子に周りの人も笑顔になっていました。
◆12月5日(火) 仙台市若林区・六郷市営住宅◆
2016年に完成した復興公営住宅ですが、今回初めて自治会とのご縁がつながり、復興コンサートをお届けすることができました。題して「冬のほのぼのコンサート」です。小さな集会室には11名の参加者があつまり、文字通りの“目の前で”生の演奏を堪能していただきました。贅沢なサロンコンサートですね。
ピアノの菅野さんは、せっかくの機会なので手元が見えるようにと譜面台を取り払って、ショパン「ノクターンNo.9-2」を披露しました。通常、ピアニストが正面から見つめられることはないため、菅野さんは緊張したそうですが、お客さんたちは華麗な指づかいに「ほ~…」と感心していました。
千春さんがヴァイオリンの構造について解説し、弓が馬のしっぽの毛でできていることを見せると「うわ~!」と大ウケ。モンティ『チャルダッシュ』の緩急自在な弾きぶりには目を瞠り、また、懐かしい唱歌の演奏で紡ぎ出されるやさしい音色には耳を澄まして聴き入っていました。
六郷地区はかつて農業の盛んな地域で、おじさんおばさんが元気な印象があります。コンサートの最中も気さくに話し掛けてきて、演奏家のお二人も「親戚の家に来たようです~」とおしゃべりが弾みました。
終演後に「うぢでお茶飲んでいがいん!(私の家でお茶を飲んでいきなさい)」と大らかに誘ってくださる方もいて、昔ながらの地域性は今も生きているなあと思いました。3日間連続して音楽を通じて愉しく和やかな時間を届けてくださったブーケ・オブ・ミュージックのお二人に、そしてご来場の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました!