お知らせ
泉中央南「歌声サロン」_12月
- 2024.12.16
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仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽リーダーをコーディネートし、
泉中央南町内会と協働してこのサロンを開催しています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)泉ヶ岳から吹き下ろす風が冷たい季節です。寒さに負けず、今日も音楽リーダーのソプラノ佐藤瑛利子さんとピアノ原田満梨奈さんと一緒に元気に歌いましょう!
いつものように準備体操と発声練習をおこない、体をほぐしてから歌に臨みます。まずはこの時季ならではの『きよしこの夜』です。両手を組んだり、星のようにきらきらさせたりなど、簡単な振りをつけてゆっくり歌いました。
「救いの御子は…」の部分では腕を伸ばして組み合わせた両手をぐんと前に突き出し、そのまま上に持ち上げる動作をつけました。腕のすくいあげる動きが歌詞の「すくい」と合っていることに加え、声が手の動きに乗っかって前に出るようになりました。最後は赤ちゃんを胸に抱きかかえるようにしてしずかに揺れる動きで終わります。体はぽかぽか、心はほっこりと落ち着いておだやかな空気が流れました。
続いてはリクエストにお応えして、石原裕次郎のヒット曲『赤いハンカチ』を歌いました。みなさんよくご存じで、すらすらと歌っていますが、低音と高音の行き来につまづいている様子がありました。瑛利子さんは「息の勢いを使いましょう!」と、三三七拍子に合わせて鋭く息を吐いたり、山頂でやまびこに言うように「おーい!」と大きな声で呼びかけたりするワークをおこないました。高い音は「おーい!」の気持ちで息に乗せて声を出すと良いそうです。このほか、冬の演歌と言えばこの曲、『津軽海峡・冬景色』も歌いました。普段の歌い方だと、顔の緊張を解いて力まずに歌うことを推奨されますが、「せっかくですから、眉間にしわを寄せてぐっと気持ちを込めて歌ってくださいね」とアドバイスがあり、みなさんは思う存分に演歌らしさをたのしんでいました。
後半のミニコンサートでは、瑛利子さんがプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」からムゼッタのアリア『私が街を歩くと』をフランス語で披露しました。瑛利子さんいわく、コケティッシュな魅力のムゼッタ役は自分には合わないと言われてきたけれど、そろそろこういう役にも挑戦したい年齢になったとのこと。よく響く歌声ときりりと華やかに歌う姿に大きな喝采が沸きました。充分にこの役も行けそうですよ!満梨奈さんは「クリスマスにちなんで、私の大好きなチャイコフスキー『くるみ割り人形』から演奏します」と、プレトニョフ編曲の『行進曲』を演奏しました。鍵盤を右に左に往来するすばやく正確な指さばきが要求される難しい編曲です。「興味がある方はどうぞ手元をごらんください」と言って弾き始めますと、ある参加者が「見てみたい!」とピアノの脇から興味津々に覗き込みました。
ピアノ1台ですが、室内楽のような華やかさが広がります。小気味良いリズムに乗って煌びやかなバレエの一場面が目に浮かんでくるようで、気持ちが明るくなります。
弾き終ると、観察していたその方は「すごぉぉいっ!」と大感激で盛んに拍手をし、その様子に満梨奈さんも嬉しそうでした。続いては瑛利子さんが「私が中学生の頃、カラオケの十八番にしていた曲です」と坂本冬美の『夜桜お七』を歌いました。意外な選曲にみなさん「ええっ!?」とたまげた様子。「子供がそんな歌を歌うもんじゃない」と親戚のおばさんに叱られた思い出があるそうです。「この歌がお役に立てる日が来るなんて…」と感慨深げな瑛利子さんでした。
澄んだ歌声の中ながら恋する女の情念たっぷりに歌い、その歌唱をパッションあふれる伴奏がしっかり受け止め、熱いグルーヴを生み出しています。みなさんもノリノリで身体を揺らしながら聞いていました。
大盛り上がりで今年最後の「歌声サロン」はお開きとなりました。まるで紅白歌合戦を観たような満足感が漂い、みなさんゴキゲンな様子で帰路に着きました。
出口では演奏家に感想を伝えたりリクエストをしたり、「今年もお世話になりました」とお互いに御礼を交わしていました。みんなでつくる歌声サロン、この一体感がいいですね。それではまた来年!