お知らせ
【花は咲く】福田町南一丁目_1月
- 2014.1.13
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宮城野区被災者交流支援事業 ≪仙台フィルとうたう「花は咲く」合唱団プロジェクト≫
(主催:音楽の力による復興センター・東北、仙台市/助成:ウィーン・フィル&サントリー音楽復興祈念賞)
おおむね60歳以上の津波で被災した方々と毎月1回、仙台市宮城野区内3か所の会場で合唱の練習をしています。
今年4月、仙台フィルと一緒に宮城野区文化センターのステージで歌います。風が強くて路面も凍る寒い日ですが、日差しはどこかしら春めいて気分もあらたまります。ここ福田町南一丁目仮設住宅では今日が練習初めです。しかし祝日ということでお出掛けした方も多く、いつもよりややこぢんまりとした練習となりました。
いつもの「花は咲く」のほかに、仙台市の復興ソング「希望の道」も練習しました。しばしばこの仮設住宅を訪問する仙台市立吉成小学校の子どもたちが前回この歌を歌ってくれたので、次回は一緒に歌えるようにと自治会長さんからリクエストされたのです。この歌は高い音もあり、リズムも簡単ではないのですが、「自分たちだけで練習できるように先生の歌をテープに録音してね」とみなさん前向きです。指導の齋藤翠さんはみなさんの歌詞カードに「ここのリズム、注意ですね」と印を書き込みました。ひとしきり歌った後、この歌詞から思い出すことがあったのでしょうか、ある方がふと、問わず語りに話し始めました。
「自宅を直して戻っても、周りにはだれもいないんだよ。同じ年齢の人たちはみな流されてしまって、話し相手がいない。家族がいても息子娘たちは働きに行くから日中はほんとに一人になってしまう。隣り近所と言っても何百メートルも離れていて歩けない。夜は街灯もないようなところで、ぽつんと暮らしているかと思うと、どうにかしたい。仮設住宅にいるより状況は悪くなっていく。復興公営住宅に入ってもそうだろう。年寄りが一人で、どんどん淋しくなっていく。どうしたらいいんだろう」
そう話す声はときどき震えていました。目には涙が浮かんでいます。私たちは言葉もなく、ただうなづくしかありませんでした。***
練習後、「海苔もち焼くから、今日はお昼食べていって」と、お正月らしくお餅をごちそうになりました。「海苔もち」はいそべ餅のことです。
毎週ボランティアで来ているフランス人のステファニーさんも好物だそうです。日本とフランスのお正月のちがいや食習慣のちがいなどを話していました。「カエルとかカタツムリをたべます」というステファニーさんに、元農家のAさんは日本のガマガエルやカタツムリを想像して絶句していました。
さて、「餅はひとり4個です」とのハードな課題に合唱指導の齋藤さんも伴奏の可沼さんも果敢に挑戦。スタッフ一同大満腹で「では、また来月!」と帰路につきました。