お知らせ
「つどいの家音楽会」開催しました
- 2014.2.28
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障害者通所施設「仙台つどいの家」は以前、仙台市泉区南光台東にありましたが、震災で甚大な被害を受け、仮設の施設で市内3か所を転々としながら運営されていました。2013年7月に仙台市宮城野区幸町に新施設が完成し、そのお祝いとして復興コンサート開催の依頼を受け、このたび仙台フィル弦楽四重奏団(ヴァイオリン松山古流さん、熊谷洋子さん、ヴィオラ清水暁子さん、チェロ石井忠彦さん)によるコンサートをお届けしました。
震災後2年半の間、移転しながら過ごす中で、利用者さんの中には心身の不調を起こす方もいらしたそうです。「新施設ができ、ようやく安心して毎日を過ごすことができるようになりました」と、施設長さんから開演のご挨拶がありました。
コンサートは華々しく「情熱大陸」から始まりました。
「もう間もなく3月ということで、春にちなんだ曲を集めました」と進行を務めたヴァイオリンの熊谷洋子さんが言いました。ヴィヴァルディの「春」は第1楽章だけ演奏されることの多い作品ですが、今日は第3楽章まで演奏するとのことで、熊谷さんは楽譜に書かれた詩を説明して「楽章それぞれの情景を想像しながら聴いてみてくださいね」と言いました。
ハイドンの「ひばり」では、まるで雪解けの川の奔流を思わせるような弦楽四重奏ならではのアンサンブルを楽しむことができました。
会場の交流ホールにはまぶしい日差しが差し込んで、暑いくらいです。
簡易ベッドのような車椅子で過ごす方、ござの上に座り込み、スタッフの方と手をつないで体を揺らしながら音楽を聴く方、お気に入りのおもちゃを手にしながら、ずっと立ったまま廊下でなんとなく音楽を聞く方、「さんぽ」や「崖の上のポニョ」に合わせて嬉しそうに手拍子する方、力いっぱい嬉しさを体で表現する方、途中でいつもの部屋に走って戻ってしまう方、そしてそれぞれを見守るスタッフの方や保護者の方も、弦楽器の生演奏ならではの響きを一緒に楽しみました。私たち事務局員にとってはいつもと少し勝手の違うところがありましたが、熊谷さんはじめ仙台フィルのベテランチームが落ち着いた態度で演奏に臨んでくださったことが本当に良かったと思います。
ひとりでは日常を過ごすことさえ難しい利用者のみなさんは、震災当時、さまざまなご苦労をされたことでしょう。中には、停電が続いたことで生命の危険が迫った方もいらしたと聞きました。またこうして日常が戻ったことに感謝し、音楽が楽しめる時間が戻ってきたということが、一番感謝すべきことなのかもしれません。天窓からは色とりどりの光が差し込んで、祝福されているかのような午後のひとときでした。
仙台つどいの家のみなさん、どうぞこれからもお元気でお過ごしくださいね。