仙台市東部の宮城野区内で最初に完成した復興公営住宅の田子西市営住宅では、
町内会主催のサークル活動として、市営住宅およびその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔懐かしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌い、
おいしいコーヒーとおしゃべりを楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、音楽リーダーとなる音楽家をコーディネートしています。

11月にしては暖かな午後となりました。集会所の前ではイルミネーションの飾り付け作業が始まっています。もはや年末気分ですね。
今日は音楽リーダーのソプラノ松本康子さん(写真右)と森明子さん(中央)、ピアノ伴奏の星簇亜実さん(写真左)がいらっしゃいました。コーヒー担当は宮城野区新田「自家焙煎　喫茶ひこ」のマスター西垣信彦さんです。

前回からメンバーも増え、ますます賑やかなうたカフェです。恒例のどんぐりころころ体操で体をほぐした後は、深い呼吸をするコツを伝授され、みんなで試しました。音を立てずに静かな呼吸をするだけでおなかに息が行き渡るのを感じます。簡単なことですが、不思議ですね。

今回もうたカフェのテーマソングともいえる「歓迎の歌」に合わせ、2人組になって自己紹介と握手を交わしました。ちょっと恥ずかしいけど勇気を出してやってみると楽しくなってくる様子。大きな拍手が沸きました。
そして、みなさんで「虫の声」の輪唱、「赤とんぼ」の二部合唱といろいろな歌い方をやってみました。初めてやってみた「赤とんぼ」の低音パートはちょっと難しかったのですが、少しずつ繰り返していくうちに、けっこうさまになってきました。ハーモニーが生まれると、歌う楽しさがぐっと増しますね。
コーヒータイムでは、松本と森さんがそれぞれ独唱と、お二人でフォーレの「子守歌」を披露しました。参加者のみなさんはカップを片手にうっとりと聴き惚れていました。

あっと言う間の一時間が過ぎ、参加したみなさんは明るい笑顔でお帰りになりました。
町内会長さんのお話しでは「ここに入居したものの、隣りの人が誰かもわからない、プレハブ仮設とちがって近所づきあいがしにくいと閉じこもってしまっている方もいます。お声掛けすると嬉しそうにするのですが、実際こういうところに出てくるにはまだまだ時間が掛かりそうです。復興公営住宅に入れて良かったね、もう大丈夫だねと言われますが、むしろ気持ちがますます落ち込んでいる方もいるんです。だから、気長にお誘いしていこうと思います」とのことです。
あせらず、ゆっくり。
うたカフェがほんのひとときでも息抜きできる場になればいいな、と思います。