お知らせ

「夏の風コンサート」開催しました

2015.8.23

7370宮城県の南端にある角田市では、市民の文化活動の拠点である市民センターが震災で大きく被害し、ホール部分は復旧ならぬまま2012年に解体されました。その後新築工事が進められ、今年の7月、待ちに待った再オープンの日を迎えました。愛称は「かくだ田園ホール」です。このホールの再開を記念するため、角田市文化協会と復興センターとの共催で復興コンサートを開催することになりました。タイトルは「かくだ田園ホール開館記念・復興《夏の風コンサート》」です。
7104本日の出演は仙台チェンバーアンサンブル(ソプラノ勝又久美子さん、ピアノ門脇麻美さん、ヴァイオリン叶千春さん、チェロ塚野淳一さん、フルート渡邉珠希さん、クラリネット叶光徳さん、パーカッション小林直央さん)です。7139
夏にしては涼しすぎる小雨模様の日曜日でしたが、会場には早くからお客さんが訪れて、およそ200名の方が集まりました。角田市長も臨席してお祝いの雰囲気にあふれた開会となりました。
オープニングはチャイコフスキー『花のワルツ』です。優しく華やかな調べがホールに満ちて、お客さんはさっそく音楽の世界へ惹きこまれ、うっとりと聴き入っていました。
仙台チェンバーアンサンブルは角田にご縁が深いそうで、グループ結成のきっかけが、実は角田市の小学校で演奏したことだったそうです。リーダーの叶光徳さんがその話をすると、いっそう親近感が増した様子で、客席の空気がほんわりと和らぎました。
7128ソプラノの勝又さんが登場し、日本の歌曲『この道』『からたちの花』などを歌ったときは、多くの方が背筋をぴんと伸ばしてじぃっと見つめて聴いていました。たくさんの方が今日のこのコンサートを楽しみにしてきて、本当に音楽が好きなんだなぁということがその姿勢から伝わってきました。

7425最後は会場のみなさんで一緒に『故郷』を歌いました。
「田園ホール」の名が示す通り、角田市には水田や野菜畑、果樹園が広がり、森林が色濃く茂る自然豊かな地域です。内陸地なので津波被害こそなかったものの、大きな宅地被害があり、また県内でもかなり南に位置するため放射能汚染の不安に晒されていた地域です。この4年間のさまざまなことを思い出したのか涙ぐんでいる方の姿もありました。7440
7435終わった瞬間に「ブラボー!」の大喝采が鳴り響き、演奏家のみなさんもとても嬉しそうでした。
その後、文化協会の会長さんから演奏家に「何か角田らしい贈り物をと思って」と、箱入りの梨が贈られました。7455
箱の中にはみずみずしくて大きな梨が並んでいました。「今年の初物の幸水です」とのこと、その土地ならではの恵みとお客さんの笑顔をたっぷり頂戴して、むしろこちらが元気をいただきました。
このホールが今後末永く地域のみなさんに愛されて、豊かな集いの場となりますよう、願います。