仙台市若林区にある復興公営住宅の若林西市営住宅では、
住民同士の交流の場「せせらぎサロン」を続けています。
そのプログラムの一つとして「うたっこ会」を2015年9月から始めました。
プロの音楽家と一緒にみんなで歌い、お茶を飲んで、楽しい時間を過ごします。
復興センターでは、音楽リーダーとなる音楽家をコーディネートしています。

1週間以上もの長雨に降りこめられてやや陰鬱な気分になりかけていたこの頃ですが、今日はまぶしい夏空が戻ってきました。あの猛暑のときは暑さに文句を言っていましたが、今日はむしろ歓迎したいくらいです。久しぶりの青空ときらめく木漏れ日に心がうきうきしてきます。
さて、今日は若林西市営住宅の集会所にうかがいました。今年2月の復興コンサート以来なので、だいぶご無沙汰していましたね。あのコンサートがきっかけにもなり、こちらで季節に一度、「うたっこ会」を開くことになりました。
この会の音楽リーダーは、仙台市在住のメゾソプラノ後藤優子さんとピアニスト田村聡子さんです。本日初めての「うたっこ会」ということで、おふたりは昨日から入念なリハーサルとサロンのみなさんとの話し合いを経て、気合い充分の態勢で臨みました。
会場には16名の参加者が集まりました。出迎えのスタッフが「あら、お久しぶりだこと！」「来てくださったのね、うれしいわぁ」「いらっしゃい！」と来る人ごとに声を掛けていました。初めての試みなので、ちょっとそわそわしたような雰囲気の中、会は始まりました。
歌う前に、まずは準備体操です。後藤さんが簡単なストレッチを伝授します。「声を出すためには、肩甲骨の周りをよくほぐしましょう」と、腕や首、肩まわりをゆっくり回しました。「顔の体操も大事なんですよ」と、頬や額、口元を大きく動かします。その後はゆっくりと深い呼吸をしました。それだけでじんわりと汗が出てきました。

さて、お待ちかねの歌コーナーでは、みなさん大きく口を開けて『リンゴの唄』『里の秋』『紅葉』などなど、昔なつかしい曲をたっぷり歌いました。
田村さんのしっとりとした伴奏に乗せて歌うといっそう気持ちがいい様子ですね。みなさんの歌声にときどき後藤さんがハーモニーをつけて歌うと、さらに響きが豊かになってうっとりします。時折、口やのどの開け方、高い音程や低い音程を歌うときのコツなど各種アドバイスがあり、みなさんそれぞれにチャレンジしていました。「わぁ、いいこと聞いたわ」と嬉しそうにしている方もいましたよ。
最後は後藤さんと田村さんによるミニコンサートで締めました。
『アメイジンググレイス』に涙する方があり、『踊り明かそう』ではみなさんが弾むように手拍子をして、「アンコール！」の声が飛び出すほどに華やいだ雰囲気で終わりました。

片付けが済んだあとは、お茶飲み会。庭で採れたニガウリの煮びたしと、庭で採れたトマトをごちそうになりました。
後藤さんも田村さんも朗らかな方で、おばさま方とすっかり和んで親戚のようにおしゃべりしています。お話の中で「こんな歌をうたいたいわ」など次回へのヒントが出てきて、田村さんはメモを取って「いいですねぇ、ぜひ今後に活かしましょう」と応えました。
みなさんのおかげで「うたっこ会」第一回は無事に終わることができました。せせらぎサロンのみなさんの笑顔に見送られながら、人を元気にする歌の力、人の心に届く音楽の力をあらためて感じました。
次回のうたっこ会は11月です。これからもみんなで楽しい会にしていきましょう！どうぞよろしくお願いします。