お知らせ
東松島市立宮戸小学校へ
- 2015.11.7
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東松島市の宮戸島は松島湾にある最大の島で、陸路で行ける陸繋島です。奥松島観光の要所として夏は海水浴客でにぎわう風光明媚な地域で、海苔や牡蠣などの養殖業がさかんでした。
松島湾と石巻湾の境にあるこの島は、東日本大震災の津波により地域の8割の家屋が流されてしまうなど、壊滅的な被害を受けました。本土と島を結ぶ道が分断され、およそ1か月孤立した状態にありました。宮戸小学校は急な坂道を上った高台にあるため、さいわい津波は免れましたが、すぐ足元まで波と瓦礫が押し寄せました。島の人びとは学校に避難し、仮設住宅ができるまでの数か月を過ごしたそうです。いまも校庭にはプレハブの仮設住宅群があります。
宮戸小学校の児童数は現在18名。子供たちは元気いっぱいにのびのびとした学校生活を送っています。毎年この時季には「宮戸っ子ふれあい祭り」を開催し、地域の人びととの交流を深めているそうです。宮戸小は今年度いっぱいで閉校、来年度からは近隣地域の小学校と統合され、宮野森小学校となります。今回で最後となる宮戸っ子祭りに復興コンサートをお届けすることになりました。
会場の体育館には子供たちと先生方ほか、PTAの方々、おじいちゃんおばあちゃん、復興支援ボランティアの方などおよそ60名が集まりました。
出演は仙台チェンバーアンサンブルからヴァイオリン叶千春さん、クラリネット叶光徳さん、ピアノ門脇麻美さんの3名です。お祭りということもあり、子供たちの好きな楽しいプログラムを組んでいただきました。
ディズニーナンバー「愛の芽生え」「バロックホーダウン」やジブリ映画の「旅立ち」「さんぽ」などが演奏されると、子供たちはリズムに乗って体を揺らしたり、口ずさんだりして楽しそうに聴き入っていました。速いテンポの演奏には「わぁ…」と歓声が上がりました。
楽器紹介で「ヴァイオリンの弦は何でできていると思う?」「ピアノの鍵盤はいくつあるかな?」と演奏家が質問すると、すぐに手が挙がっていました。
このほか、モーツァルトのクラリネット五重奏や、ねこにまつわる曲をちりばめた「ねこふんじゃった変奏曲」が披露され、子供も大人も芸術の秋をたっぷりと楽しんでいた様子でした。
さて、“芸術の秋”のあとは“食欲の秋”です。宮城県のこの時季の名物「はらこめし」と豚汁がみんなに振る舞われました。宮戸島では皇室献上品になるほど質の良い海苔が生産されていますが、その海苔を贅沢に使った盛り付けで供されたはらこめしに演奏家も目を丸くしていました。
地域の方が「素晴らしい演奏をありがとうございました」と声を掛けてくださいました。
帰り際に校長先生が「また来てくださいと言いたいところなんですが…」とちょっとさびしそうにおっしゃいました。この学校は歴史に幕を下ろしますが、新しい学校にも私たちは行きますので、是非お声がけくださいね!