お知らせ
名取市雇用促進住宅へ
- 2016.2.9
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宮城県名取市の丘陵地帯に、雇用促進住宅という古いアパートがあります。本来の役割を終えて取り壊しになろうかというときに東日本大震災が起きました。
市内沿岸部で津波の被害にあった多くの人びとがこのアパートを仮の住まいとし、もはや5年目となりました。現在も50世帯が暮らしているそうです。
ジャンルを問わず音楽が好きな人が多いです、との話を伺って復興コンサートをお届けにきました。
名付けて「こよう!早春コンサート」、出演は仙台在住のメゾソプラノ後藤優子さんとピアニスト田村聡子さんです。会場には12名の参加者が集まりました。
演奏家のお二人は目にも鮮やかな紅いドレスで登場しました。自治会長さんが「早春にふさわしく、梅の花が咲いたようだねえ」と言いました。紅梅が咲いたかのような姿にお客さんは感嘆の声を上げました。
オープニングは『アメイジング・グレイス』。これは住民の方から事前にいただいていたリクエスト曲でした。
参加者の方々はのっけから食い入るようにして聴き入っていました。歌が終わると、ある人が「もうドキドキしちゃった~」と顔を紅潮させてうれしそうに言いました。
ベートーヴェン、坂本九、美空ひばりなど、古今東西おなじみの、かつ多種多様な選曲でお客さんは大喜び。おじさま方も一緒に口ずさんでいて、楽しんでいる様子でした。
田村さんがピアノ独奏でモーツァルト『トルコ行進曲』を演奏すると、クラシック音楽好きのご婦人が身をよじるようにして「わあ、うれしい!」と言いました。流麗な指使いを間近に見て「うわあ」と圧倒されていた人もいました。
弾き終わると「ブラボー!!」と腕を頭上に持ち上げて拍手する方もいました。こちらの方は音楽好きが多いだけあって、ノリがいいですねえ。
続いて、「みんなで歌おうコーナー」です。『雪』『冬景色』を一緒に歌いました。
「キーが高くて歌えないわぁ」「どうしたらいいの?」と尋ねる方に「無理しなくていいんですよ、低くても大丈夫」と後藤さんは答えていました。
本日のラストは『あの鐘を鳴らすのはあなた』です。みんなで体を揺らしながら手拍子して、クラシック演奏会というよりは、ライヴコンサートのようなノリになりました。
終わった途端に、わっ!とスタンディングオベーションする方も何人かいて、大盛り上がりでお開きとなりました。
帰り際、どの方も満面の笑顔で演奏家に話しかけていました。「うれしかった」「すばらしいです」「どうもありがとう!」「元気をもらった!」と口々にお褒めの言葉をいただいて、演奏家も嬉しそうでした。
また今日も人びとを元気にする音楽の力を実感しました。また行きますので、どうぞお声がけくださいね。