お知らせ

みやぎの「花は咲く」合唱団_2月

2016.2.17

仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」
宮城野区被災者交流支援事業
≪みやぎの「花は咲く」合唱団≫
宮城野区の仮設住宅、復興公営住宅、防災移転地区、または津波被災地域に
お住まいのおおむね60歳以上の方々と、毎月1回合唱の練習をしています。

3日前に地下鉄東西線国際センター駅で、仙台フィル弦楽四重奏との共演を果たしたばかりですが、今日もさっそく練習です。粉雪舞う中、現れたみなさんは口々に「お疲れ様でしたぁ!」「ほんとお世話になりました~!」と、大舞台の緊張から解放されたほっとした表情で挨拶を交わしています。
いつも合唱団を指導してきた齋藤翠さんが本番当日にインフルエンザでダウンするというアクシデントに見舞われましたが、この難局を乗り越えるのだ!と一致団結、一段と結束力が高まったのは怪我の功名と言えるでしょうか。
そのコンサートのおかげで、昔、石巻で同じ町内だった人と何十年ぶりかで再会したり、同じ応急仮設住宅に住んでいた人と再会したというメンバーがいました。これも音楽がつなぐご縁ですね。

さて、 今朝も翠さんは大事を取ってお休みです。ピアノ伴奏の目々澤亜紀さんが歌の指導にあたります。前回の本番で見えた課題をホワイトボードに書きだし、本日の練習のポイントとしました。
DSC_0582 DSC_0583まず最初に、宮城野区家庭健康課の一條さんによるウォーミングアップです。顔の筋肉をほぐしたり、唾液腺を刺激したり、口まわり動きがよくなる体操をしました。続いて亜紀さんが、口やのどの開け方、呼吸など基本的なことを確認しながら発声練習をしました。「口の中にゆで卵が入っていると思ってください」とのアドバイスがありました。
DSC_0592今日はスペシャルゲストをお招きしました。翠さんのピンチヒッターとしてヴィオラ奏者の吉田和久さんが協力してくださいました。実は、先日のコンサートのリハーサルで弦楽奏の音がよく聞き取れず、合唱団も演奏家も四苦八苦したということがありました。少しでも弦楽器の音に慣れてほしいという亜紀さんのアイディアに吉田さんは快諾、合唱団のみなさんもうれしそうでした。
DSC_0587初めに『家路』を合わせてみました。すると、合唱団は弦の音を聞こうとしすぎて、歌がどんどん遅くなって、もたついてしまいました。牛の歩みのようです。吉田さんは「演奏者の弓づかいは歌う人の息づかいと一緒です。下げ弓、上げ弓のうごきをよく見て、合わせるようにして歌ってみてください」と言いました。すると、一気に歌がいきいきと進み始めたのです。これには脇で見ていたスタッフもびっくりしました。合唱団メンバーも「そうか!」と納得がいったようです。素晴らしい。
DSC_0594フレーズの出だしが揃わないときには、「音を聞いてから息を吸ったのでは遅いんです。弓の動きが変わる瞬間の〈準備〉が大切です。呼吸もそうですよ」という助言で、すぱっと合うようになりました。おもしろいですねえ。
吉田さんは歌をさらに良くしようと熱心に解説するのにかなり専門的な話になることもあり、メンバーは時々「???」ときょとんとした表情を見せていました。しかし、弦楽器という別の切り口からの提案に「なるほどねえ」とうなづくところも多くあり、有意義な練習会でした。何より、弦楽器が怖くなくなったのが一番の効果でしょうか。
DSC_0590あっという間に時は過ぎて、慌ただしく片付けの時間になりました。メンバーからは「吉田さんの演奏を聴きたかったなぁ」「せっかくだものねえ」と惜しむ声が多数。ああ、この良き出会いに配慮が足りなかったと反省する事務局スタッフなのでした。