お知らせ
田子西「うたカフェ♪」_4月
- 2016.4.15
-
仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では、
町内会主催のサークル活動として、当住宅とその周辺にお住まいの方々の
交流の場「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、 みんなで歌い、
おいしいコーヒーとおしゃべりを楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し、
音楽リーダーとなる音楽家をコーディネートしています。新年度最初のうたカフェは、春の嵐か、猛烈な風の吹きすさぶ日の開催となりました。参加者が入口の戸を開けて、「すごい風だこと!」「飛ばされるかと思ったわ~」と言いながら入ってきました。すでに喫茶ひこの西垣さんがコーヒーを用意して待っていたので、部屋の中は佳い香りが漂っています。「はぁ~やれやれ」とみなさん自然に深呼吸して落ち着かれた様子でした。
音楽リーダーは仙台オペラ協会のソプラノ松本康子さんが務めます。いつもご一緒の岩瀬りゅう子さんが仕事の都合で急遽来られなくなったので、今日は一人で切り盛りします。ピアノ伴奏はこれまでの可沼さんに替わって富樫範子さんが登場しました。どうぞよろしくお願いします。まずは腕を回したり背伸びをしたり、軽く体をほぐします。と、ピアノ伴奏がすっと入ってきました。富樫さんは動きの様子を見ながら即興で演奏してくださいます。なんだかNHKの体操をやっているような気分になりました。
その後は呼吸のウォーミングアップです。息を吐くときに「シュッ!」という鋭い子音をリズムに乗せて連続して発します。簡単に見えてけっこう腹筋を使うワークでした。
さて、今日の課題曲は童謡『はるですね はるですよ』と唱歌『春』です。『はるですね…』のほうは最近の歌なのでみなさんご存じなかったようですが、親しみやすいメロディを短く区切って練習すると、すぐに歌えるようになりました。うたカフェの長老Aさんが「おお、いい歌だなあ」と言い、他の方も笑顔でうなづいていました。
間奏のときは手遊びふうに手拍子やグー・チョキ・パーを入れたり、最後には松本さんとジャンケン合戦になって、勝った!負けた!と大いに盛り上がりました。適度な勝負ごとは人を元気にするみたいですね、朗らかな笑い声が聞こえてきました。
おなじみの『春』ですが、「今日は二部合唱で歌っていただきます!」と、松本さんは難題を出し、みなさんは「えええ~…」とたじろぎました。その様子から察するに、いきなりパート分けするのも難しそうだったので、最初は全員でアルトパートを練習しました。ピアノ伴奏に低音パートのメロディをしっかり付き添ってもらいつつ、何度も繰り返しました。中には学校で習ったという方もいて、昔取った杵柄ですね、そのうちにみなさんがなんとか歌えるようになりました。
最後にはソプラノを希望する人とパート分けして二部合唱にチャレンジ。あちこちぎくしゃくしながらも、ときどきそれなりのハーモニーが聞こえてきて、声を合わせるって好いものだなあと傍で思いました。歌っているみなさんも誰かと声を合わせることや重ねることの、シンプルで素直な喜びを感じているようでした。
帰りしな「50年ぶりに『春』を合唱したけど、細かい音程が怪しくなってたのが自分でわかったわ」と話す方がいました。中学生の時にアルトパートを歌ったそうです。「歌は世につれ」と言いますが、歌を通して自分の人生を振り返る時間になっているのかもしれませんね。音楽にはさまざまな効用があるようです。
さあ、今年度もたのしく歌っていきましょう!