お知らせ
駅なかメモリアルコンサートvol.5開催しました
- 2016.9.11
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音楽の力による復興センター・東北では今年度、毎月11日に地下鉄東西線の
国際センター駅と荒井駅を会場にした「駅なかメモリアルコンサート」を企画制作しています。
東日本大震災から5年が経過した今だからこそ、市民のみなさんとともに、
音楽を通じてあの日に思いを馳せる場を設けたいと考えました。
(主催=仙台市)東日本大震災から5年半となる今日は、せんだい3.11メモリアル交流館にて「クレモナからの贈りもの」コンサートを開催しました。イタリア国立クレモナ弦楽器製作学校から震災復興支援のために仙台ジュニアオーケストラに贈られた4挺のヴィオラによる演奏です。
出演は仙台ジュニアオーケストラの武澤智哉さんと加藤佑月さん、ジュニアオーケストラ卒団員の三浦瑠菜さん、そして仙台フィルハーモニー管弦楽団ヴィオラ奏者の長谷川基さんです。
会場にはおよそ100名の観客が集まりました。
まずは祈りをこめてモーツァルト『アヴェ・ヴェルム・コルプス』、続いてはクレモナにちなんで映画『耳をすませば』主題歌の『カントリーロード』でした。若き演奏家たちはだいぶ緊張していた様子でしたが、その初々しい様子をお客さんは温かいまなざしで見守っていました。
続いては武澤さんと加藤さんのデュオによる『12の二重奏ハ長調k.487』です。演奏だけでなくトークも任された二人にお客さんから「がんばれよー!」という声援が飛んで会場が沸きました。二人の一所懸命な演奏ぶりに拍手が贈られました。
続いては、本日のスペシャルゲストの登場です。仙台フィルコンサートマスターの神谷未穂さんと長谷川さんとで二重奏を披露しました。長谷川さんが東日本大震災のあと、最初に避難所へ演奏を届けに行ったときに一緒だったのが神谷さんなのだそうです。同じ年齢ということもあって息もぴったりの演奏でした。音楽による復興支援活動の盟友といった感じなのでしょうね。
今日は「若者には負けませんよ~」と気合い充分の様子です。
ホフマイスター『ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番』では親しい会話のような掛け合いが楽しく、マルティヌー『3つのマドリガル』では「さあどうだ!」「これでもか!」と、まるで音楽の格闘技のように激しいやりとりが交わされました。そばで見ていると、弓の毛がふつふつと切れていくのがわかります。丁々発止の掛け合いが最高にエキサイティングで、その圧巻の演奏に「ブラヴォー!」と大向こうから声が掛かりました。
プログラムの最後にはおなじみモンティ『チャールダッシュ』が演奏されました。でも、今回はいつもと一味違いますよ。長谷川さんによる新しいアレンジで随所にヴァイオリンの技巧がちりばめられています。ひばりのさえずりのようにヴァイオリンが歌うのです。こんな音が出るのか!とお客さんも「おおぉ」と驚きをもって聴いていました。演奏の途中にもため息と拍手が自然に湧き起こって、会場全体が熱く盛り上がりました。
その後はもちろんアンコールを求める熱い拍手と歓声が続きました。神谷さんは「こうしてクレモナの楽器を演奏することで、イタリアの方々の想いをみなさんにお伝えすることをこれからもやっていきたいと思います」と語りました。
アンコール曲はヴァイオリンとヴィオラ3つによるレハール『メリー・ウィドウ・ワルツ』です。柔らかで朗らかな調べが会場を包み、お客さんの笑顔もなお一層やさしげに、満ち足りたように見えました。
クレモナからいただいたご恩に応えるため、終演後にはイタリア中部地震への義援金の募金を若き演奏家たちが呼びかけました。多くの方が募金に協力してくださったおかげで64,112円もの義援金が集まりました。みなさんどうもありがとうございます。
長谷川さん、武澤さん、加藤さんは過日イタリア大使館で演奏したご縁がありますので、この義援金はさっそくイタリア大使館へ送られることになっています。
地震や大雨や、自然災害のニュースが世界各地で多く聞かれる昨今です。人びとにおだやかな暮らしが戻りますように、と願います。