お知らせ

泉中央南「歌声サロン」_10月

2016.10.18

仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、泉中央南町内会と
泉区まちづくり推進課と仙台白百合女子大学と協働でサロンを運営しています。

この歌声サロンは今回で丸一年となりました。町内会の方々のご協力と参加者の笑顔に支えられての一年でした。改めましてこれからもよろしくお願いします。
dscn1741今日も声楽家の後藤優子さんとピアニストの田村聡子さんが、小道具満載でやって来ました。色づいた紅葉やいちょうの葉、柿の実や栗の実、コスモスなどの造花を飾り、色とりどりの薄布で水の流れを模して、集会所の中に秋の風景が現れました。窓の外に見えるセイタカアワダチソウの黄色い花と相まって、素敵なステージセットが出来ました。dscn1723
「いつもどうもねー」と常連さんが次々とやって来ては、舞台美術に目を留めて「あら!」「すごいこと!」と驚きの声を上げます。稲穂の造花を触って確かめてから「あら~本物かと思った」「こういうのあるのねえ」と感心していました。
今日の歌は『まっかな秋』『虫のこえ』『学生時代』です。歌詞カードを目にした人が「学生時代、懐かしいねえ」「ペギー葉山よね」と話していました。
dscn1740その中で「まっかな秋って歌は知らないねえ」と言う方がいらしたので、みなさんに訊ねてみたところ、知らない人が半数もいました。これは意外ですね。でも、数度歌っただけで「覚えたよ」「うん、大丈夫」との反応があり、ほっとしました。かわいらしい歌ですし、みなさんの新しいレパートリーに加えていただければさいわいです。

dscn1746『虫のこえ』では後藤さんが虫の声になぞらえたさまざまな楽器を用意していました。もちろんご参加のみなさんにも楽器を担当していただきましょう。dscn1760
最初は恥ずかしがっていた人も、いざやってみるとまんざらでもない様子。一度鳴らすと向上心が生まれてくるみたいです。
初めて触るチベタンベルやギロなど、それぞれの音が面白く新鮮です。「虫の声合奏団&合唱団」の演奏は大いに盛り上がりました。何歳になっても音楽はたのしいものですね。
dscn1815休憩時間には仙台白百合女子大学のサークルWhite Lilyの部長さんと副部長さんが美味しいコーヒーを淹れて、みなさんに味わっていただきました。これから就職活動が忙しくなる彼女たちは今日が最後の参加になりました。
学生さんたちの心づかいと若さあふれる笑顔がこのサロンのもう一つの花でもありました。いままでどうもありがとうございました。このサロンでの経験がやがて社会に出たときに何かの糧になってくれたらいいなあと思います。
dscn1797さて、コーヒーを楽しみながらのミニコンサートでは、『北上夜曲』と『夜明けのスキャット』が披露されました。dscn1770
どちらもリクエストがあった曲です。情感豊かにしっとりと歌う後藤さん、伴奏しながらさりげなくハモる田村さん、お二人の演奏にうっとりと聴き惚れている参加者のみなさんがいて、ここだけ違う時間が流れているような気がしました。
実は北上夜曲を歌うのは今日が初めてだという後藤さんは「みなさんのおかげで素敵な曲と出逢えました」と感謝の念を示しました。
dscn1809dscn1808アンコールは『テネシーワルツ』でした。この歌の持つせつなさは深まりゆく秋にぴったりですね。大喝采と歓声が会場いっぱいに響いて今日はおひらきとなりました。

或る方が柿の実の飾りを見ながら、問わず語りに言いました。
「昔は干し柿を何百個もつくったり、いちじくを何キロも煮たりしてみんなに配ってたんだよね。震災のあとはそんなことする場所もないし、人もばらばらになったから、できなくなっちゃったな…」
いろんなことが思い出される秋の日です。