お知らせ
反松公園住宅「秋ほのぼのコンサート」
- 2016.11.16
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気仙沼市上田中にある応急仮設住宅の反松公園住宅へ復興コンサートをお届けに行きました。気仙沼市内の災害公営住宅は当初予定の5割程度まで完成したところだそうです。この反松住宅からも新しい家や公営住宅へと移る人が増えていますが、一方でまだ70世帯がここでの生活を余儀なくされています。
住民が減って少しさびしくなった秋の夜、音楽をゆったりと楽しんで心が温かくなるようにと「秋ほのぼのコンサート」と名付けました。
出演は仙台チェンバーウィンズ(ピアノ門脇麻美さん、フルート渡邉珠希さん、クラリネット叶光徳さん、パーカッション小林直央さん)です。
日が暮れると急に冷え込みが厳しくなります。
平日夜7時からの開催でどのくらい参加者があるだろうかとちょっと心配したのですが、始まってみると、用意した椅子はほぼ満席、22名の方々が集まりました。かつてここに住んでいた人や、ご近所の人もいらしたそうで、この集会所が地域に開かれた場所であることに感銘を受けました。
さて、コンサートはフォーレ『スペイン』で華々しく幕を開けました。4つの楽器によるハーモニーが豪華で目覚ましい印象です。
続いては、それぞれの楽器を紹介しながらのソロ演奏です。小林さんはアクロバティックなバチさばきのドラムソロでお客さんを魅了、客席から「お〜」「わぁ…」と声が聞こえました。
渡邉さんと門脇さんが演奏したのは新緑の中の清流を思わせる瑞々しい曲で、まるで森林浴をしたかのような清々しさが辺りに漂いました。
叶さんは一度分解したクラリネットを組み立てながら演奏するという珍しい曲を披露しました。本棚やオーブントースターの中(!)に前もって隠しておいた楽器の部品を叶さんが取り出すたびに、お客さんは「まあ!」「「うそ〜!」と大喜び。クラリネットがどんどんが成長していく茶目っ気たっぷりの演奏に笑顔の花が咲きました。
コンサートの後半は懐かしの昭和歌謡コーナーです。お客さんの年齢層を考慮して、昭和30年代、40年代、50年代それぞれのヒット曲が演奏されました。
なかでも『銀座の恋の物語』は大人気で、「ほら○○さん、歌ったらいいさ」とお客さん同士がそそのかし合っていました。ちょっとジャジーな歌謡曲は夜のコンサートにぴったりですね。多くの人がスイングしながら聴いていました。終演後には住民の方々と一緒にお茶を飲みながらおしゃべりしました。
「この饅頭おいしいから食べてね!」「わざわざドレスで来てくださってありがたいねえ。クリスマスみたいだね」「懐かしい曲がいっぱいあって楽しかった〜」「楽器はいつから始めたの?」「音楽は本当にいいね。気持ちが軽くなるよ」などなど、いろんなお声をいただきました。復興コンサートならではの交流のひとときです。
中には「若い頃、クラリネットを吹く友人の手伝いで裏方をやってたから、こういうの見ると懐かしくてねえ。がんばってね」と、譜面台の片付けを手伝ってくださる方もいました。どうもありがとうございます。
今日、演奏に使わせていただいたアップライトピアノは来月この集会所から撤去され、或る方の新居へと運ばれていくそうです。復興コンサートでは何度もお世話になったこのピアノにまたどこかで会えたらいいな、と思います。