お知らせ

「ウェルカムパーティー IN 鶴ヶ谷」

2017.2.26

仙台市宮城野区・鶴ヶ谷東コミュニティセンターにて、復興公営住宅入居者をあたたかく迎える実行委員会主催による、「ウェルカム・パーティー IN 鶴ヶ谷」が開催されました。この中で、復興コンサートを依頼され、ヴァイオリンの佐藤実治(なおはる)さん、クラシックギターの小関佳宏さんに出演いただきました。

鶴ヶ谷地区は、仙台市の北東部にあり、1960年代から造成が始まったニュータウンです。その後拡大し、戸建てや市営住宅を合わせて、この地区だけで16,000人の方がお住まいです。震災後、復興公営住宅も建てられ、元々あった市営住宅にも転入された方もいて、被災された方々の転入は90世帯にのぼります。

この日まで、多くの方が準備され、いよいよ迎えた当日。転入された方、福岡・筑紫女学園大学のボランティア12名と先生方、宮城野区副区長や各町内会、社協スタッフ含め、会場には80名あまりが集まりました。開会の挨拶や、来賓祝辞、来賓紹介に続いて、コンサートが始まりました。アーチ型を描く天井を、反響板代わりに利用して舞台は窓側。サロンコンサートの雰囲気となりました。

演奏は、「美しきロスマリン」「愛の挨拶」とクラシックの名曲から始まりました。ヴァイオリンの音色は、特にとてもよく響く会場です。これまでも、長くお二人で演奏されてきた佐藤さんと小関さん。2曲演奏した後のトークでは、地元にお住まいの小関さんから「みなさまをお迎える住民の一人として、心を込めて演奏させていただきます」。会場からは大きな歓声が上がりました。

この後に続いた「青葉城恋唄」は打合せの際『仙台にみなさんを迎えるにあたって、仙台らしい歌を』とリクエストいただいたもの。つづく「からたちの花」(作詞:北原白秋)は、この日、福岡・筑紫女学園大学のみなさんが、復興支援ボランティアの一環で、“うまかもん食堂”として昼食をご用意くださることにちなみ、やはり『福岡にちなんだ曲もあったら…』とリクエストされたものでした。「からたちの花」は唯一、ギター独奏での演奏。様々な奏法=音色での演奏は、ギターならではの繊細な音楽。目を閉じてじっと聴き入る方、目がしらをそっと押さえていらっしゃる方など、小関さんの心に沁みいるような音色が、一層やさしく感じられた一曲でした。

その後、「情熱大陸」ではみなさんに手拍子で参加していただいたり、小関さん作曲の「星の名前」では、“自然も豊かで、人が行き交う公園や街路樹のある歩道がある、鶴ケ谷がとても好きなんです”“そんな日常の中から生まれた曲”とご紹介があったり、佐藤さんから“世界一速いチャールダッシュを目指しています”とお話があっての「チャールダッシュ」。緩急のあるバラエティに富んだプログラムに、あっという間に時間が過ぎて行きました。

終わりには「早春賦」「北国の春」を、みなさんでご一緒に。決して声高に故郷を歌う歌ではありませんが、どちらの歌も、目頭を抑える方の姿がありました。アンコールには「川の流れのように」。

鶴ヶ谷地区社会福祉協議会を中心に「復興公営住宅入居者をあたたかく迎える実行委員会」が組織され、交流会を行うのは今回が2回目。被災された方たちが、広く鶴ケ谷地域のあちこちに分散していらっしゃることもあり、孤独感を強めずに横のつながりを作る機会として、一回きりではない交流機会を企画されたそうです。今回は、23ある鶴ケ谷地域内の町内会から、被災者の転入のあった町内会の会長さんも、出席されていました。顔の分かる関係づくりのために、こうしたきっかけとなる会はとても貴重なのではないでしょうか。転入されていらしたみなさんが、一日も早く、鶴ケ谷地区を第二・第三の故郷と感じられる日々がやってきますように。