お知らせ

「のびる希望コンサート2017」へ

2017.2.19

[おしらせ]2/20(月)18:10~19:00NHK総合テレビ「てれまさむね」(仙台放送局)にて、「のびる希望コンサート2017」の様子とソプラノ齋藤翠さんのインタビューが放映されます。ぜひご覧ください。

東松島市野蒜ケ丘は、野蒜地域を眼下に見渡せる高台の上に造成されました。昨年10月から、家の完成を待って移転してくる方が増え、震災後、あちこちに散り散りになっていた野蒜・宮戸島の方たちが、この街に戻り始めています。野蒜市民センターも、昨年11月に完成したばかりです。「まだ真新しいこの施設に、足を運んでもらいたい」「ようやく出来た新しい野蒜の拠点に、みんなで集まれる機会をたくさん作っていきたい」と、野蒜まちづくり協議会教育福祉部の事業として、コンサート開催のご相談をいただきました。

今日の出演は、東松島市出身のソプラノ齋藤翠さん、フルート芦澤曉男さん(仙台フィル)、ピアノ星蔟亜実さんの3名。この3人での復興コンサート出演は、2011年10月26日大船渡市内の保育園でのコンサート以来。また、齋藤翠さんが野蒜市民センターで演奏するのは、一昨年12月の、仮設の野蒜市民センターでの復興コンサートから、2度目となりました。

数日前の予測では「お客さんは30~40人くらいかな」と野蒜まちづくり協議会の内海さん。ところが、開場1時間前から集まりだしたお客さん達、開演する頃には80名もの方が詰めかけてくださいました。

野蒜まちづくり協議会会長のご挨拶に続いて、演奏家が春らしい色のドレス姿で登場します。齋藤さんから「先ほど、東松島市出身とご紹介いただきましたが、私の出身は…“うっしゃみ”です!」とご挨拶された途端、会場がわぁっと沸きました。“うっしゃみ”というのは牛網地区のこと。こちらの皆さんは文字通り“うしあみ”とは言わずに“うっしゃみ”と呼ぶのだそうです。この一言でお客様とドレス姿の齋藤さんの距離が一気に近くなったような気がしました。

コンサートはメンデルスゾーン『歌の翼に』から始まりました。歌声とフルートとピアノの響きが重なり合い、会場に広がっていきます。ある方は「フルートの音色は、最初、あれ?どこから聴こえてくるんだろう?とわからなかったくらいで…高いところから降ってくるような、音に包み込まれるような気がしました」とお話しくださったほど。会場は、木のぬくもりの感じられる造りで、天井が高く、心地よく音が響きます。

フルートとピアノによる『七つの子』変奏曲と『きらきら星変奏曲』の間には、フルートの音の出る仕組みの解説が。お客さん達の“何が始まるかわからないキョトンとした顔”を前に、芦澤さん、栄養ドリンクの瓶の縁を吹き、すこしずつ飲んでは吹き…音の高さが段々低くなっていくのを聴かせてくださり、みなさん「へぇ~!」と拍手。そして、この小さな瓶で、口を当てる角度の変化だけで音階をつくり『ラブミーテンダー』を聴かせてくださいました。ただの瓶、のはずなのですが、すてきな音色にまたもや拍手喝采!

続いて齋藤さんは「新しい野蒜の街がすてきな街になっていきますように、と願いを込めて」と『虹の彼方に』『蘇州夜曲』の2曲を独唱で。思いのこもった歌声に、みなさん聴き入っていらっしゃいました。つづく“みんなで歌いましょう”コーナーでは、「せっかくなのでこの時期にしか、歌えない曲を選びました」と、間もなくやってくる『嬉しいひな祭り』を。子どもの頃以来、久しぶりに口ずさんだ方が多かったのではないでしょうか。

星蔟さんのピアノ独奏、ドビュッシー『小さな黒人』は、黒人の子ども達が“ケーキちょうだい!”とねだりながら踊ったダンスのリズム、だというケークウォークの1曲を楽し気に。再び3人での『アメージンググレース』は、しっとり、じっくりと…。会場のみなさんの気持ちが、舞台に引き込まれていくのが見えたような気がしました。

最後の『ふるさとの四季メドレー』は、『春の小川』や『夏は来ぬ』『冬景色』など懐かしい四季の童謡が散りばめられたメドレー。幼いころに覚えた歌は、いつまでも記憶に残っているものです。多くのお客様が、どの曲も一緒に口ずさんでくださいました。舞台上の齋藤さんにも、その歌声はしっかりと届いていた様子でにっこりと。

あっという間の1時間弱。最後には、野蒜の新しい名物お菓子「のびるバウム」をプレゼントしていただきました!そして、そのお返しにと、アンコールにはガーシュイン『I Got Rhythm』。齋藤さんは舞台を飛び出して、お客様の目の前に。芦澤さんのノリノリのフルートソロもかっこよく、また名残惜しくなってしまった最後でした。

取材にいらしたNHK仙台放送局の記者さんから、最後に言われたのは「聴いていらっしゃるお客様たちの笑顔が、とっても印象的で…」。何よりの一言でした。今日まで開催準備をしてくださった野蒜まちづくり協議会、野蒜市民センターのみなさん、大変お世話になりました。新しい野蒜市民センターが、たくさんの笑顔の集まる場所に、益々なっていかれますように!