お知らせ

泉中央南「歌声サロン」_2月

2017.2.28

仙台市泉区の復興公営住宅で2015年10月から「歌声サロン」を始めました。
復興センターでは音楽家をコーディネートし、泉中央南町内会と
泉区まちづくり推進課と協働してこのサロンを運営しています。

暖冬かと思っていたら今朝は氷点下の冷え込みでした。日差しはすっかり春ですが、風が冷たくて身が縮こまります。でも、歌声サロンの会場は春満開なのです!今日も演奏家のお二人(メゾソプラノ後藤優子さん、ピアノ田村聡子さん)が梅や薔薇など鮮やかな造花を持ち込み、壁には雛かざりのステッカーを貼ってお客様をお迎えしました。温かな心づかいにほっとしますね。
今日はご新規さんが大勢いらして、会場から人があふれんばかりの混みようで、約50名の参加者が集まりました。すごい熱気です。
恒例のウォーミングアップで体と顔をほぐし、発声してのども暖めます。風邪や花粉症の季節ですし乾燥も気になる時期ですから、無理しないで歌いましょうね。

さて、今月のうたは『トロイカ』『北風小僧の寒太郎』『うれしいひなまつり』の3曲です。
ツンドラの風景の中を行くそりの疾走感と勇ましさをイメージしながら歌います。男性の常連さんがここぞとばかりに大きな声で歌ってくださいました。どこへうかがってもこういう集まりは女性が多くなりがちですが、男声がちょっとでもあると歌のアクセントになって良いものです。
『北風小僧の寒太郎』では最初の「き」の発音について後藤さんからアドバイスがありました。「かきくけこの〈K〉の子音は小さな〈っ〉をつけるとはっきり聞こえてよくなります」とのこと。「北風」を「きったかぜ」と思って歌ってみると、たしかにクリアに切れ味良く聞こえるようになりました。
サビの「ひゅーんひゅーん」という風の音のところはみなさん体を揺らしながら童心に帰ったようにたのしそうに歌っています。
自分が風になったつもりで歌うと、息をたっぷり使うことになって自然と呼吸が深くなり、これは健康にもいいかもしれないなあと思いました。
会場中の空気が一陣の風になってぐうんと動いたように感じました。
『たのしいひなまつり』は4番まであるので、3チームに分けて交代して歌ってみました。他の人が歌うのを聞くというのもちょっと気分が変わっていいですね。ちょっと競争心も刺激されて「よおし、よそのチームに負けないよう歌おう」と意欲を掻き立てていたようです。


お茶で一服しているときに、発声練習のコツを質問してきた方がいて後藤さんは懇切丁寧に回答していました。こういうふうに興味を持ってくださる方が居ると演奏家もさらに張り合いができて嬉しいものなんですよね。

お茶と一緒にたのしむミニコンサートでは参加者からリクエストがあった『木星』が披露されました。
田村さんがキーボードをパイプオルガンの音色にして力強く演奏しました。重厚な響きが会場を包み、いつもの集会所とはなんだか違って見えました。「私たちは一人じゃない」という歌詞はみなさんの胸にどう伝わっていたのでしょう。復興公営住宅という新しいコミュニティを立ち上げる当事者のみなさんのお守りになってほしい言葉だと思いました。
熱烈アンコールは、これも北風が吹きすさぶ演歌『越冬つばめ』でした。後藤さんも田村さんも本来はクラシックの演奏家ですが、サービス精神が旺盛なので演歌も入魂の仕上がりで聴かせてくださいます。吹雪にかすむ水平線が見えるようです。ふと見れば、ほろほろと涙をこぼして聴く方の姿がありました。
人と会い、挨拶を交わし、歌い、笑い、涙を流す。そんなことをして人は元気になっていくのだと思います。春はもうすぐ、みなさんの笑顔もますます明るくなってきたように感じます。今日もたくさんの歌声と拍手をありがとうございました。