お知らせ
〈こんにちはコンサート〉パル三居沢へ
- 2025.11.21
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仙台市では、新しい音楽ホールと中心部震災メモリアル拠点の複合施設を
整備する計画を進めています。この施設では『文化芸術を子育て・教育・福祉・まちづくりなどに
生かす』ことを大きなテーマとし、開館を前にさまざまな取り組みを行ないます。
その一つ「こんにちはコンサート」は、アウトリーチ事業のモデル構築を目的としたもので、
復興センターが企画制作を担っています。時雨降る今日は、広瀬川のほとりにある就労支援事業所のパル三居沢にうかがいました。演奏会場の作業室に至る廊下にはクリスマスリースの数々が飾られています。利用者の方々が松ぼっくりや木の実などを採集して加工しているのだとか。金銀に彩られた材料を精巧に組み合わせたそれらの製品は豪奢かつ重厚な趣きのある見事なものでした。
さて、本日の出演はクラシックギター佐藤正隆さんと小関佳宏さんです。
オープニングは『川の流れのように』でした。広瀬川がすぐ目の前に流れているこの会場にぴったりの選曲ですね。
日本の歌謡曲や愛唱歌をメインとし、外国の有名な曲も加えたプログラムでした。ルビーラ『禁じられた遊び』は、通常ではギター独奏曲とされていますが、今日は二重奏の豪華版でお楽しみいただきました。「僕はもう30年近くこの曲を弾いてますが、やっぱり難しいですね」と小関さんが言いました。
また、ピアノ曲で有名なベートーヴェン『エリーゼのために』もギターだけのアレンジで聴くと、また味わいが変わって好いものでした。「まさに広瀬川の流れる岸辺で、この曲を演奏します」と、さとう宗幸『青葉城恋唄』を演奏したときは、客席から小さく歌声が聞こえてきて、ほのぼのとした温かな空気が流れました。
演奏家お二人の師匠である佐藤弘和さんが編曲した『赤とんぼ幻想曲』は、おなじみの童謡『赤とんぼ』のフレーズが次々に展開していきます。「赤とんぼが世界各国を旅しているイメージです」と正隆さんが解説すると、身を乗り出して耳を傾ける人がいました。ギターを打楽器のように叩いたり、ハーモニクスで不思議な響きを作ったりと、目でも耳でも楽しめる演奏でした。お二人が、クラシックギターは自分の爪で弾くことや、爪の保護に気を遣うことを話すと、みなさん「へえ~」と興味深そうにしていました。また、「この会場ではギターの音が響き過ぎずに、ちょうどよい生の音で聞こえますね」と褒めると、いつもの作業室が特別な空間に感じられたようで、感慨深そうにぐるりと見まわしている人がいました。
最後は『手のひらを太陽に』が演奏されました。みなさんの歌声がだんだん大きく力強くなっていって、職員の方が「まさかみなさんが歌うなんて…!」とその様子に驚いていました。
演奏後、「赤とんぼがいろいろな国に行った様子が目に浮かんで楽しかった」「目の前で生の演奏が聴けて嬉しかった」など感想を述べる方々がいました。プロの音楽家によるコンサートは初めての開催だったそうで、職員さんもいたく感動していたご様子。演奏家のお二人も「また弾きに来ます」と嬉しそうでした。




