お知らせ

〈芸術銀河〉名取「メモリアルコンサート」

2026.1.11

当センターでは、宮城県芸術銀河2025音楽アウトリーチ普及事業の企画制作を担当し、
音楽の豊かさに触れる機会を宮城県内各地へお届けしています。
(主催=みやぎ県民文化創造の祭典実行委員会)

178回目の月命日にあたる今日、宮城県東部にある名取市震災復興伝承館へ伺いました。この施設は名取川が太平洋にそそぐ河口のそばにあり、東日本大震災の津波で甚大な被害があった閖上地区のことを後世に伝えるため、2020年5月に開館した施設です。資料展示をメインとするこの施設で、コンサートを行なうことは今回が初めての試みとのことでした。
会場の窓からは真っ青な空と防波堤に砕け散る白い波しぶきが見えます。体ごと吹き飛ばされそうな強い風が吹きつけていて、はたしてお客さんはたどり着けるのだろうかと心配しましたが、会場はほぼ満員となりました。

本日の出演はBouquet of Music(ヴァイオリン叶千春さん、ピアノ菅野明子さん)です。お二人は2017年5月に開催した閖上公民館での復興コンサートに出演していますので、8年半ぶりの閖上再訪となりました。あのときからもだいぶ風景が変わりましたね。
まずは新春を寿ぐべく、ヴィヴァルディ『春』第一楽章と、宮城春雄『春の海』が演奏されました。海を背景に生の音楽を聴くという体験はなかなかないものです。テレビのCMやBGMなどでおなじみの両曲ですが、生演奏で、目の前で聴くとまったく味わいが違いますね。春の光を受けた海が一段と明るく感じられました。

菅野さんはこの日のためにご当地の民謡「閖上大漁節」を楽譜に起こしてきました。ありがとうございます!ヴァイオリンとピアノの演奏にみなさんの手拍子と歌が合わさって、和やかな賑やかさが会場に満ちました。美空ひばりのメドレーでは「あ~いいねえ…」「上手いねえ…」とあちこちから満足げなため息が聞こえてきました。

本編最後にお二人は、『花は咲く』を演奏しました。この曲は伝承館からのリクエストでもありました。お客さんには一緒に歌っていただきましたが、涙がこみあげて途中で歌えなくなっていた方が何人かいました。ヴァイオリンとピアノの調べは、あふれる涙をやさしく包んでいました。

お客さんから寄せられた声をご紹介します。
「整地された閖上を眺めながらのコンサート、ステキでした。思い出したくない記憶ですが、忘れてはならないと胸にきざんでいます」
「閖上大漁節、ありがたかったです」
「久しぶりに生の演奏にふれました。音の力を感じました。心なごむよい活動だと思います。頑張ってください」

出口では「また来てほしい!」「またやって!」と演奏家に話し掛ける方が多数いました。伝承館で初めてのコンサートを心から気に入ってくださった様子ですね。またお会いできますように!