お知らせ

田子西「うたカフェ♪」_6月

2017.6.16

仙台市宮城野区にある復興公営住宅の田子西市営住宅では
町内会主催のサークル活動として
この住宅とその周辺にお住まいの方々の交流の場
「うたカフェ」を2014年10月から始めました。
昔なつかしい歌声喫茶にヒントを得て、みんなで歌い
おいしいコーヒーとおしゃべりを楽しもうという趣向です。
復興センターでは仙台オペラ協会と協働し
音楽リーダーとなる音楽家をコーディネートしています。
(仙台市音楽の力による震災復興支援事業)

本格コーヒーをいつも用意してくださる喫茶ひこのマスター西垣さん、今日は到着するなり言いました。
「今日からアイスコーヒーも出すよ」
ああ、夏なんですねえ。深煎り豆のこうばしい香りが鼻をくすぐります。
さて、今日も音楽リーダーはソプラノ松本康子さんと岩瀬りゅう子さん、ピアノ富樫範子さんが務めます。準備体操では両手を上に突き出して左に右にぐい~んと伸びるエクササイズをやりました。単純な動きですが、肩回りやわき腹にけっこう効きます。実はこれは同時に発声のイメージトレーニングでもありました。

「タケノコのように突き抜けた声をイメージすると、明るくなるし高音も歌いやすくなります」と松本さんが説明しました。なるほど、身体を使ってイメージすると具体的で理解が深まる感じがしますね。

今日の課題曲は『こぎつね』『クラリネットをこわしちゃった』『黒ネコのタンゴ』『ラバーズ・コンチェルト』です。「今日のプログラムは〈実は〇〇〇だった〉シリーズです!」と松本さんが言いました。それぞれ、ドイツ民謡、フランス民謡、イタリアの童謡、バッハ『メヌエット』が原曲となっている歌なのでした。その種明かしを聞いて「へえ~そうなんだね~」と参加者から意外そうな声が聞こえてきました。
『こぎつね』では「こん、こん」というところでさっそくタケノコ発声が活かされました。軽やかに、明るく、空中に放つように歌うことを心掛けました。
『ラバーズ・コンチェルト』ではボディーパーカッションに挑戦しました。左手で「タン」、右手で「タタ」と膝を打ちながら歌います。「あらやだ」「えっ?」と焦る人があちこちにいます。松本さんの見本を真似ながら歌っているとだんだん手が上がってきて空中を叩く人もいました。同時にいろいろなことをやるって難しいですね。でも、こういうちょっと難しいことは人を無邪気に夢中にさせてくれるので楽しいことでもあります。
『クラリネット…』では合い間に「オー!」「こら!」などちょっとしたセリフが入ります。「がっかりしたため息ですよ」「子供を叱るときを想像して」と、岩瀬さんのリードで感情たっぷりに言う練習をしました。
『黒ネコのタンゴ』では松本さんが「みなさんの演技力を発揮して、いろんな“ニャ~オ”を言ってみてください」と気合いを入れらたのですが、でもみなさんちょっと恥ずかしそうに遠慮して歌ってたようです。メロディのないセリフはなぜか気恥ずかしいものなんですよね。
ひとしきり歌ってからのコーヒータイム、今日は喫茶ひこの常連さんの菊地雄平さんがお手伝いに来てくださいました。実は岩瀬さんのお弟子さんなのだそうです(ここにも今日のテーマが隠されていました!)。いろいろな人が参加してうたカフェの輪が広がるのはありがたいことですね。

コーヒータイムのミニコンサートで、松本さんは『すみれの花咲く頃』を歌いました。 実は宝塚歌劇団の大ファンだという松本さんが満を持して披露した一曲です。この曲自体も実はドイツ映画の主題歌「再び白いライラックが咲いたら」だそうで、松本さんは原語で歌い、みなさんうっとりスウィングしながら聴き惚れていました。

最後に岩瀬さんと飛び入りゲストの菊地さんが二重唱を披露しました。
曲はおなじみの『大きな古時計』です。ソプラノ岩瀬さんの軽やかな声とテノールを目指している菊地さんの若々しい声のハーモニーがやさしく響きました。男声が加わると新鮮ですね。
歌が終わると「平井堅よりカッコイイよ~!」とあるおばさまから言われて、菊地さんはとても照れていました。岩瀬さんいわく「実はこれ〈実話〉の歌なんです」とのこと。おあとがよろしいようで。