お知らせ

あすと長町第三市営住宅「うたごえ喫茶」

2017.7.13

仙台市太白区のあすと長町地区にはかつて市内最大規模の応急仮設住宅がありました。一時は220世帯400人以上が暮らしていた一大プレハブ住宅群は2016年末までにすべて撤去され、現在は更地になっています。周辺には商業施設やマンション群が建ち並んで賑やか、いかにも新興地区といった様子です。復興公営住宅も第一から第三までが完成し、被災した多くの人びとが新しい街で新たな生活を始めています。
この夏からはあすと長町第三市営住宅で「うたごえ喫茶」を始めることとなりました。町内会長の飯塚さんにはその昔プレハブ仮設住宅時代に復興コンサートでお世話になったご縁があります。この集会所ではさまざまな催し物が活発に行われていますが、その中にもう一つ「みんなで一緒に歌うことをたのしむものが加わったらさらに良いですね」とのご要望があり、季節に一度「うたごえ喫茶」をお届けする次第です。
音楽リーダーは田子西「うたカフェ」でもおなじみのソプラノ岩瀬りゅう子さん(仙台オペラ協会)とピアノ富樫範子さんです。田子西での経験を活かした初回から盛りだくさんのプログラムを用意してくださいました。
会場には住民と社会福祉協議会スタッフなど10名の参加者が集まりました。実習に来ていた大学生も興味津々の様子です。
恒例のウォーミングアップは富樫さんが担当します。1本指からはじまって5本指まで順番に、歌のリズムに合わせて拍手をするワークでした。どんどん拍手の音が大きくなっていくのが面白いですね。それだけでも何かおめでたい雰囲気になって気分が明るくなるように思いました。
岩瀬さんはハンドベルを持ち込んでさっそく全員に一音ずつ分担しました。ハンドベルを試すのは初めてという方がほとんどで、握る手や肩に力が入ります。「みなさんお顔が必死すぎますよ~」と岩瀬さんが言うと、みなさん「あはは~」と笑って場がなごみました。

いきなりですが『ドレミの歌』に挑戦です。一音入魂の勢いでガチガチな人、要領を得てスムーズに鳴らす人などさまざまですが、まさに共同作業ですね。なんとなく曲が形になると楽しいものです。
一曲目から頭も体も使って「はぁ…」と燃え尽きた感もありますが、続いては夏にちなんだ日本の唱歌メドレーを歌いました。ここで岩瀬さんは独自の工夫を加えます。ところどころに英語の『サマータイム』やシャンソンを差し挟むのです。みなさんホワイトボードに書かれたカタカナを追うのに一所懸命ですが、たまにはこういう趣向も新鮮で良いのではないでしょうか。
この他にもチーム分けしてちがうリズムの手拍子を重ねたり、立ち上がって合唱団ふうに歌ってみたりなどなど、頭脳も体もフル回転で音楽を楽しみました。いつものカラオケとは異なる歌のジャンルや歌の楽しみ方も良い刺激になったことと思います。
あっと言う間に時間は過ぎて、最後に演奏家のお二人はやなせたかし作詞、木下牧子作曲の『ユレル』という曲を披露しました。自然と体がリズムに乗ってスウィングする優しい曲調の歌です。「しあわせに揺れる、悲しみに揺れる私」という歌詞がここにいるみなさんのこれまでを照らし出すようです。
本当にいろいろありましたよね。ほんのひとときでもこうして穏やかな時間を共にできるようになったことを誰にともなく感謝したい朝でした。
また秋に来ますので、ぜひご一緒に歌いましょうね。