お知らせ

みやぎの「花は咲く」合唱団_9月

2017.9.7

≪みやぎの「花は咲く」合唱団≫
かつて宮城野区の仮設住宅にお住まいだった方や津波被災地域にお住まいの
おおむね60歳以上の方々と毎月1回合唱の練習をしています。
2013年10月から続いている活動です。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

あっという間に9月ですね。合唱指導を務めるソプラノ齋藤翠さんは所属する仙台オペラ協会の本公演をつい数日前に終えたばかり。合唱団メンバーも何人か観に行ったとのことで、開口一番に「先生、素晴らしかった~!」「楽しかったです~」と感激した様子で挨拶を交わしていました。
ピアノ伴奏の目々澤亜紀さんは仙台の秋の風物詩である定禅寺ストリートジャズフェスティバルに出演するそうで、みなさんは「え、見たい!」「どこで?」「何時に?」と興味津々。季節はもうすっかり芸術の秋なんですねえ。
さて、今日もしっかり練習していきましょう。歌う前のウォーミングアップでは前回から横隔膜を意識するワークを試しています。
姿勢を正してから肋骨を指で辿って、横隔膜や体幹のイメージをつかみます。呼吸とカウントに合わせてみぞおちをぐっ、ぐっ、とリズミカルに押し出すことを繰り返しますが、まだコツをつかめず多くの人が「これでいいのかな…」と自信なさげな様子。
「背中も膨らむかやってみてください」との言葉に「せ、背中も…?」と、とまどう声。胴体の前後左右が膨らむような深い呼吸としっかりした支えの意識が歌声を美しくします。今すぐにはできなくてもきっと判るときが来るでしょうから、たまに家でもやってみてくださいね。

続いて、軟口蓋の扱いについて重点的に学びました。音程が取れていても口の中の空間が狭いと美しい響きは生まれません。
これまでも何度も登場しているキーワード「あくびののど」「大きな飴玉を舌に載せたつもりで」「のどの天井を高く」とともに、翠さんが例を示します。軟口蓋を上げないと角ばったつぶれた声になり、上げると軽やかで明るい柔らかな声になります。みなさんはその違いがわかって「あ~なるほどねえ」と感心しきり。差異を知ることが実践への第一歩です。これからは常に口の中の天井を高くして歌っていただきたいものです。

発声練習はさらに続きました。今度は声の当てどころを明確にイメージするワークです。
「目の前にドーナツがあると思って、その穴に声を通す気持ちで歌ってみてください」。

重力は歌にも影響するんですね。ふと油断すると、音程も声の出す方向も下に向きがちです。そうなるとどうしても表現として暗くなるし、濁ってしまいます。目の前のドーナツを想定することで、視線も声の方向も上がって明るい声になりました。これをずっとキープするのは大変かもしれませんが、楽をしていては誰かを感動させるような表現はできませんよね。ちいさなことですが、これも頑張りどころの一つです。
歌の練習では、日常生活ではおそらく使わない感覚を刺激されます。横隔膜も自分だし、軟口蓋も自分の一部です。新鮮な自分との出会いや気づきがその人の日常をほんのちょっとでも楽しく豊かなものにするきっかけになればいいなあと思います。
さあ、講師の音楽的要求はだんだん高まっていますよ、みなさん次回まで自主トレよろしくお願いします!