お知らせ

霊屋下第二住宅「うたごえ広場」へ

2017.12.16

仙台市青葉区の霊屋下第二市営住宅で毎月開催している「ほっとサロン」はご高齢の住民を中心とした交流の場で、手芸や軽体操など毎回さまざまなプログラムを実施しています。今日は第2回「うたごえ広場」をお届けしました。音楽リーダーは前回に引き続き仙台オペラ協会のソプラノ岩瀬りゅう子さん、ピアノ伴奏は川下由紀さんです。

 

まずは手首や指をぐるぐる回してウォーミングアップ。「あら~薬指が難しいねえ」「あはは、回んないよ~」とあちこちから聞こえてきました。笑うことも体をほぐすには有効ですからその調子で行きましょう!
続いては岩瀬さん恒例のハンドベルが登場しました。初めて触れるハンドベルに「わぁ!すてき」とときめく人、「えっ、私も!?」とたじろぐ人など、みなさんテンションが上がった様子でした。各自の音階を確認したらすぐに『きよしこの夜』にトライします。が、「あら?鳴らないわ」との声が上がりました。いい音を鳴らすにはけっこう思いきりが必要なんですね。力強く「えい」と振り出すことが大事らしいですよ。

目を白黒させつつ、ついて行くのに必死の様子でしたが、協働作業でパッチワークのように澄んだメロディが組み立てられると、「ああ、いいねえ」「たのしい!」とみなさん嬉しそうにしていました。
さて、今日の課題曲は盛りだくさんです。『かあさんの歌』『北風小僧の寒太郎』『ペチカ』『雪』など季節にぴったりのプログラムを用意しました。男声と女声に分けてフレーズごとに歌ったり、ちょっとした身振りを加えたりしながら童心に帰って楽しく歌いました。「歌詞のイメージを心に浮かべてくださいね」と岩瀬さんがアドバイスすると、ご自分の思い出と重ねて歌詞を味わっているような様子がありました。

 

最後に、参加者全員でお茶っこ会がありました。「どうやったら良い声が出るのかしら」「腹式呼吸はどうするの」などの質問に岩瀬さんは姿勢や呼吸についての助言をしていました。
和気藹々としたおしゃべりの中でふと昔の思い出話になり、「人生ほんとにいろんなことがあったけど、3月10日の東京大空襲で宮城に逃げてきて、まさか3月の11日に津波に遭うとは思わなかった」と涙するご婦人がいました。80歳を超えるその方は「でもね、震災があったから出逢えた人もいっぱいいるのよね」と涙を拭い、「これからもがんばりますよ」と言いました。

震災からまもなく7年になりますが、この時期になってからむしろ震災当時の体験談を聞くことが多くなったように感じます。人によっては、今ようやく語り出せるようになったのかもしれません。人それぞれの思いにそっと寄り添う音楽の出番はまだまだあることを実感しました。