お知らせ
卸町市営住宅「クリスマスコンサート」へ
- 2017.12.17
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今日は仙台市若林区の卸町市営住宅へ。この住宅の自治会である卸町ふれあい町内会が主催するクリスマス会に復興コンサートをお届けしました。
この住宅に入居した人たちはあちこちの被災地からやってきたので、コミュニティづくりはゼロからのスタートでした。町内会では住民の交流の機会を作るためにいろいろと心を砕いています。その機会の一つになればと、復興センターではこれまでにも木管五重奏の演奏や歌の会などをお届けしています。
今日はヴァイオリン門脇和泉さんと古関楓さん、ピアノ石川祐介さんにご出演いただきました。石川さんは昨日の田子西に続いて連日のご登場です。また、古関さんは復興コンサート初参加となりました。どうもありがとうございます!
会場はモダンなデザインのオフィスビルのロビーです。天井が高く、全面のガラス窓からは自然光が差し込んでとても素敵な空間です。町内会の役員さんはツリーをはじめ、いろいろなデコレーションを用意して雰囲気を盛り上げてくださいました。
プログラム前半ではエルガー『愛の挨拶』やモーツァルト『トルコ行進曲』等おなじみのクラシック曲やテレビドラマ主題歌などが演奏されました。
と、和泉さんはヴァイオリンの弓を2本出してきて「さて、ここでクイズです。弓Aと弓Bではどちらが良い弓でしょうか?」と問いました。金額にするとゼロが2個ちがうそうです(!)楓さんがそれぞれの弓で短いフレーズを弾き、聴き比べます。「え~わかんないなぁ…」と首をかしげながら手を挙げる人、「はい!」と自信満々に挙手する人などさまざまです。「正解はBです!」との声に、わっと客席が沸きました。当たってもハズレても笑顔になる面白さがありました。
古関さんは留学していたハンガリーでのクリスマスの様子や、子供の頃の思い出を語りました。サンタクロースのためにツリーの下にクッキーとミルクを用意していたことやサンタさんから手紙をもらったエピソードを紹介すると、客席からも他の演奏家からも「ええ~っ!」「素敵なご家庭ですね~」とどよめきが上がりました。
石川さんはピアノ独奏のときに「みなさんのご希望で曲を決めたいと思います!どれが聴きたいですか?」といくつか候補曲を挙げました。お客さんの多数決でベートーヴェン『エリーゼのために』が選ばれました。透明な日差しの中に流麗な旋律がきらめいて、大人も子供もうっとりと聴き入っていました。
後半は日本の唱歌やクリスマスソング、子供の好きなアニメソングなどが披露されました。演奏をじいっと見つめている子、ピアノを弾くように指を動かしながら歌っている子、小さな子を膝に乗せてリズムに合わせてぽんぽんと弾ませるパパやママ、懐かしい唱歌を小さく口ずさんでいるお年寄りなど、陽だまりのような穏やかで温かな時間がそこにはありました。窓から見える青空に白い雲がゆっくりと流れていきます。年末の気ぜわしさから離れた特別なひとときですね。アンコール曲は子供向けと大人向けに用意していたそうですが、「どっちも聞きたい!」との声に演奏家は喜んで応えました。
お住まいの方の話によると、100戸近くあるこの住宅でまだ顔を見たことがないご近所さんもいるとのことでした。この時代、コミュニティづくりは一筋縄では行かない難しいものになってしまいました。でもきっと、町内会の役員さん方の努力が実を結ぶときが来るはずです。人と人の出逢う場に音楽でお役に立てることがありましたら、またお声がけくださいね。