お知らせ

みやぎの「花は咲く」合唱団_12月

2017.12.20

≪みやぎの「花は咲く」合唱団≫
かつて宮城野区の仮設住宅にお住まいだった方や津波被災地域にお住まいの
おおむね60歳以上の方々と毎月1回合唱の練習をしています。
2013年10月から続いている活動です。
(仙台市「音楽の力による震災復興支援事業」)

今日は、いつも練習している会場が予約できなかったので、初めて田子市民センターで練習しました。住宅街でわかりにくいので会場まで無事にたどり着けるかしらん…と心配しましたが、メンバーは「遠回りしちゃった」「一回通り過ぎちゃった」と言いながらもなんとか自力で到着したので、ほっとしました。

今日も合唱指導は仙台オペラ協会の齋藤翠さん、ピアノ伴奏は目々澤亜紀さんです。亜紀さんは赤いスカートに白いセーターのクリスマスカラーで登場し、翠さんは大きな鶴が描かれたセーターを着ていて「私はもうお正月です!」とみんなを笑わせました。
さて、恒例の肩もみウォーミングアップでは「おつかれさまです」とお互いにこの一年の労をねぎらいました。あちこちから盛大なため息が出てきて「温泉みたいだねえ」と誰かが言いました。この合唱団がみなさんの心の温泉になっているといいな、と思いました。

最初に『埴生の宿』を練習しました。練習曲の中では最もゆったりしたテンポの歌ということもあり、合唱の出来がそれなりに安定してきたようにも思います。しかし、翠さんはさらなる要求を出しました。
「特にアルトさん、低い音を歌うときこそ《上あごで歌う》意識を持ってください!」
観察していると、なるほど、人は音が低くなると自然に顔が下を向き、マリオネットのように下あごだけがパクパクしてしまいます。そうなると音が暗く沈んだ感じになり、声も濁ったように聞こえます。
「上あごを開けると、顔の表情も明るくなって良いんですよ」と見本を示しました。「口を表面的に開けてもダメです。のどを開けてくださいね」

これは毎回注意されるポイントですね。メンバーとしては「わかっちゃいるけど…」という感じでしょうか。しっかり身につくまでがんばりましょう!
続いては『あの素晴らしい愛をもう一度』を練習しました。翠さんは言いました。
「みなさん!これは10代の愛を歌ってください、今のは40代の愛に聞こえます!」
一同「わはははは」と大爆笑、「いや~もう忘れたわ~」「ずいぶん前だもんね~」と大うけでした。そのダメ出しが効いて、その後の歌声はちょっと弾んで若々しくなりました。そうです、やればできます!

この曲はテンポが軽快なのですが、発音がほんの少し遅れる傾向があります。それを翠さんは「のどを開ける準備が間に合ってないんです」と診断しました。前奏や間奏でゆったりやわらかに呼吸をしておくことが大事なのですが、多くの人は逆に胸を固めてしまっていました。その呼吸のうちからのどの奥を開けましょう、と何度か練習しました。
さらには「のどの天井に声を当てる部分をせばめてみましょう」と高度な要求がありました。さあ、のどの天井を上げただけではもう足りない段階に来ました。天井全体に漫然と当てるのではなく、ここぞというポイントに一点集中で声を当てる意識を持つことが必要なのです。「そ、そんな…」「難しい…」との声が漏れ聞こえましたが、自分で限界を決めてしまっては成長が止まります。翠さんがその発声の違いを示すと、みなさん「ああ~なるほどねえ」とその差を聴き分けることができました。違いがわかるなら、自分でもいずれできるようになるはずです。取り組むべき課題があるということは一種のしあわせです、挫けずにトライするのみ、です!

今日は合唱団の今年の歌い納めです。今年一年ありがとうございました。年末年始の忙しさで自主練習の時間がないとか、新年で気分が改まってこれまでの蓄積を忘れるとかあるかもしれませんが、ともかく健康第一で過ごしてください。また来年もよろしくお願いします!