お知らせ

「アバッセたかた♪クリスマスコンサート」へ

2017.12.21

陸前高田市は、街の中心部を含む大部分が、津波による壊滅的な被害を受けました。現在は一部で嵩上げ工事が進み、その中心に商業施設と市立図書館が併設された『アバッセたかた』があります。2016年度に多くの災害公営住宅が整備され、新たな住まいでのコミュニティづくりが進むなか、今回は、地元でスーパーを経営され、震災後、市議会議員としてもご活躍の佐々木一義さんから、「高田でも、復興コンサートをお願いできないか」とご相談いただきました。買い物や図書館に立ち寄るみなさんに、ひととき、音楽で”ほっ”とあたたかい気持ちになっていただけたら、とのこと。出演者として、普段は山形交響楽団のメンバーとしてご活躍されている、トランペット松岡恒介さん、ホルン関谷智洋さん、トロンボーン太田涼平さんの3人による『BRASS TRIO“La Trinite”』(ブラス・トリオ“ラ・トリニテ”)に初めて「復興コンサート」にご参加いただくことになりました。

『アバッセたかた』は、平日でも1日平均700人の来店があるそうで、陸前高田の多くの皆さんにとって、身近な存在であることがわかります。ボランティア訪問や、地元の学校・サークルによるコンサート、モノづくりワークショップなど、数多く開催されているが、プロ演奏家によるコンサートは少ないとのこと。「今回は、普段着で楽しめるアットホームなコンサートだと、うれしい」とのリクエストです。

震災後、岩手・宮城県沿岸部にいらしたのは、初めてという“ラ・トリニテ”の皆さん。とはいえ、まずはゆっくり見学する間もなく、アバッセでのコンサートが始まりました。舞台には、色と大きさの異なるトランペットが3本…それだけでも気になるところに、信号機のように青・黄・赤のサテンシャツを着た3人が登場です。

クリスマスコンサートらしく鈴の音も可愛らしい、「そりすべり」からスタート。金管アンサンブルらしい、パリッと華やかで、広がりのあるハーモニーに聴きにいらした皆さんも、一気に舞台に吸い込まれていきました。

つづく「アメイジンググレイス」では、松岡さんのしっとりと柔らかく美しい音色を堪能。間に楽器紹介も挟みながら、日本の歌メドレー、そして意外な選曲だった「男はつらいよ」に、お客さんたちもにっこり。曲紹介を務めたホルンの関谷さんから「人のつながりの大切さを感じる曲を、も う1曲続けて演奏したいと思います」とのお話しの後に演奏されたのは、中島みゆきの「糸」でした。じっと目を瞑って聴かれる方、キリッと口をむすんで聴き入られる方など、お一人ずつが、思い思いに耳をすませていらっしゃることを、ひしひしと感じる時間でした。

最後は楽しく「クリスマスメドレー」を。パブリックスペースから正面に見える大きなクリスマスツリーの周りには、周辺のお店で働いていらっしゃるみなさんが、入れ代わり立ち代わり聴いてくださっている姿も見えました。短い時間でしたが“ラ・トリニテ”の御三方のあたたかな音色に、少し心があったかくなったようなひとときでした。